月: 2011年10月

大好きな野道を歩く

夏はもう完全に終わり…と書いたあと、再び好天が続くようになった。さすがに気温20度とはいかないけれど、陽が差すとかなり暖かい。例年のごとく、夏が 終わって1000メートル前後の上空に霧が出るようになり、その霧雲の上はさんさんと陽が差しているのに、地上は暗く寒い日も出てきた。でも、その霧も晴れることが多く、全体的に今年はとってもいい秋だ。

今年の夏はほとんど湖で泳げなかった。再びプールへ通うようになったが、最近は泳いだあとの心地よい疲れのほかに、楽しみがもう1つ増えた。

あれは春だったか…。泳いだあとはバスを乗り継いで家に帰っていたのだけれど、ふと、待ち時間が長かったことと天気が良かったことから、ちょっと歩いてみ ようかな、という気になった。いつもはバスが来るまでベンチで新聞を読む。それも1つの貴重な時間だったのだけれど、バスだと大回りして家に帰ることにな る。「きっと、あの野原を突っ切ればそんなに遠くないはず」。こうして見つけた野の小道、初めて歩いたその日から大のお気に入りになった。

スニーカーなどかかとの低い靴を履いて、高台に広がる野原の遊歩道を歩く。砂利が敷かれていて、一足運ぶごとに「じゃり、じゃり」と気持ちのいい音がす る。泳いで疲れているので、足取りもゆっくり。仕事が終わったあと、駅に向かう急ぎ足より倍くらい遅いのではなかろうか。右手にチューリヒ湖を見下ろし、 左手の花畑で季節の花を楽しむ。この花畑は自分で好きなものを切ってお金を置いていくシステムだ。

Zollikonこの辺りは犬の散歩コースにもなっていて、犬を連れた(特に)女性を必ず見かける。牛もいる。カラスもいる。小川もゴニョゴニョ、ポコポコと流れている。

秋になって初めて気がついたのは、クルミの木もあるということ。下を向いて歩きながら何かを探している人を何人か見かけた。持っている袋には硬そうなゴル フボールくらいのものがたくさん入っている。なんだろう???考えながら歩いていたら、つぶれたクルミが1つ落ちているのを見つけた。へぇ~、こんな近く にクルミの木があったなんて!

野原を下り、森の端っこをずんずん下っていくと、家の裏を走っている道路に突き当たる。ここからは舗道。うちまでずっと砂利道でもいいのに。この道を歩けるのもあと1年。ここを歩けなくなるのはずいぶん寂しい。

蜘蛛きらい

夏はもう完全に終わり。一昨日まで日差しの中にいるとまだ汗ばむ陽気だったけど、でももうさすがに10月も1週間が過ぎたものね。そろそろ衣替えをしなくっちゃ。

夏、我が家にはいろんな虫たちがやってくる。わたしは害のないものならそのまま放っておく。でも、蜘蛛は苦手。三重の田舎の蜘蛛は異様に大きい。足を入れ たら、大人の手を広げたくらいの大きさはある。畳の上に寝ていて、ふっと気がつくとふすまに張り付いた大きな蜘蛛がじっとこちらを見ていた…なんてことも ある。そして、その目も光って見えるほど大きいのだ。ああ、不気味。

スイスの蜘蛛はそれに比べるとかなり小さい。大きくてもせいぜい足を入れて手のひらほど。それくらいの大きさになるとまだちょっと苦手だが、ちっちゃい蜘 蛛はかなり平気になった。それでも触ることはできないけど。部屋の隅によくいるツィマーマン(Zimmermann)と呼ばれる足の細長い蜘蛛も許せる。 虫を取ってくれていると思うとそうそう追い出せない。見た目もあまり不気味じゃないし。

昨晩の風と雨でいなくなってしまったが、バルコニーにはちょっと派手な、そら豆くらいの大きさの蜘蛛がいた。最初は、昔モグリのお気に入りだった花壇に植 えられている背の低い木の間に巣を張っていた。でも、その頃そこにモグリIIがよく座っていて、伸びをしたりして巣を破ってしまった。蜘蛛はどこに行った のかわからなくなっていたけど、翌日また同じところに巣を作っていた。でもその日、またモグリIIがやっぱりその巣をしっぽで破ってしまい、私は嫌いなが らも蜘蛛に同情。その翌日、木の間の破れた巣はそのままだった。蜘蛛はモグリIIの体にひっついたまま、どこかへ行っちゃったのかなぁ、と思いきや、バル コニーの反対側、右端に新しい巣を構えているではありませんか。ははぁ、蜘蛛って賢いんだ。2回同じ目にあったらもうそれはしない。知らなかった。夏のバ ルコニーは学習の場です。