月: 2011年9月

アンダルシア大好き

ElrocioI少し遅めの夏休み、ときに40度を超すこともあった南スペインはアンダルシアで10日間ぼ~っと過ごしてきた。ポルトガルとの国境に近いウエルヴァ地方は 西側に比べると観光地が少なく、景勝地もあまりない。一番面白いのはウエルヴァ市の西側に広がる国立公園ドニャーナの辺り。湿地帯だが、夏はからからに乾 いていて馬がたくさん放牧されている。ElrocioIII

ドニャーナ公園の北の始まりにあるのがエル・ロシオ(El Rocio)。この辺は前回の旅行でも訪れた。初めて行ったときまるでウエスタン映画の舞台のようだと思った。教会があるだけの町で、年に一度、大勢の人 が訪れる。そのために教会の周りには宿屋と飲食店、みやげ物屋が舗装されていないひろ~い敷地に並んでいる。でも、それだけ。

ElrocioII幹線道路沿いにある駐車場に車を停めて(1日2ユーロ)、徒歩でてくてくと野を越えること約20分。40度近い気温の中、パラソルやビーチタオルなどの荷 物を持って坂道を歩くのはちょっとたいへんだけど、その甲斐あってビーチは人影少なくのんびりと過ごせる。小さなレストランもあって、魚貝類のから揚げな どが美味。春に行った南ポルトガルのアルガルヴェと同じように、ここも丸い形の松の木が多い。落ちた松葉がいい香りを放っている。isla cristina

毎日いい天気で、楽しみだったガスパチョを思う存分いただき、魚貝類をたくさん食べた。宿泊していたホテルIsla Cristina Palaceには何と日本人コッ クさんがいて、月曜日以外は毎晩お寿司や肉じゃが、インド料理、中華などのアジア食をビュッフェで作ってくれた。ほかの洋食は特にスペイン料理というわけ ではなかったので、わたしは毎日アジア食ばかり。スペインでこんな夕食を取れるとは!コックさんによると、お客さんにはドイツ人が多く、お寿司が喜ばれて いるとか。日本人はほとんど来ないらしく、「久しぶりに日本語を話しました」といろいろとおしゃべり。

Donanaこの辺りはまた、ボンゴレがたくさん採れるよう。水の中に腰くらいまでつかって、見たことのない用具を使ってアサリを採っている人をあちこちで見かけた。 ビーチにもアサリの貝殻が帯状に打ち上げられている。でも、アサリも名物であることに気がついたのが遅すぎて食べ損ねた。悔しいので、うちに帰ってお隣さ んといっしょに夕食を取ったときにアサリのワイン蒸しをしてひとまず満足。実家でもアサリをよく掘りに行ったけど、春だけ。イタリアやスペインでは年中取 れるのかしら?この辺りの一番人気はから揚げ。Choco Fritoという小さいイカのから揚げのほか、カレー味にした魚の切り身、イワシのから揚げもある。ビーチで食べる魚介類はやっぱりさいこーです。

植物に学ぶ

初夏、バルコニーに花を植えたとき、黄色い花(黄色い花はもちろん無数にあるけれど、残念ながら花の名前はわからず。7月3日に写真掲載)と同じプランターに小さな紫色の花をつける植物を植えた。 別のプランターには同じ黄色い花とマーガレットの小型版を植えた。数日後、黄色い花は威勢よく咲き誇っているのだが、別の2つの植物は元気がなくなり、花もほとんど咲かせない。マーガレット小型版の一つは枯れてしまった。

BlumenII数週間後、黄色い花は咲くだけ咲いてその命を全うしたようだったので、別の花に植え替えることにした。なぜか黄色い花にまた手が伸びて、ちょっとキンセン カに似た花を購入。これを機に、元気がなくなっていたムラサキ花とマーガレットを1つずつ別の鉢に植え替えた。そうしたら、この2つの花は見る見る元気を 取り戻してたくさん花を咲かせた。

相性の悪い植物ってある。香草でも確か、パセリの隣にバジリコは植えない方がいいとかあったはず。そして、これは人間にも当てはまると思う。相性の悪い人 のそばにいては、開花するはずの才能も花開かず終わってしまう。相性の悪い環境の中でクサってしまうこともある。それを見分け、適切な判断をするのは簡単 なことではない。でも、それは人生の大きな転機となるはずだ。                 

SUSHIの夕べ ~ろう者と~

8月最後の土曜日、ザンクトガレンで初めてお寿司教室のお手伝いをした。これまで2回、チューリヒのろう者センターで行われた「お寿司の夕べ」で30人分 くらいのお寿司を作るお手伝いをしたが、作り方を教えるのは初めて。6人の女性が参加して、みんなでワイワイ(参加者の1人を除き、全員がろう者だったけ どにぎやかだった)お寿司を作った。

寿司作りの経験のある人はひとりもおらず、巻き寿司は力の入れどころがわからずにぺしゃんこになったり。面白いと思ったのは、このお寿司シリーズではいつ も計画通りに進まないこと。作業手順や巻き寿司の中身をきちんと紙に書いて決めている割には、全然その通りに行かない。

この日も3時開始で6時にはみんなで作ったものを食べ始める予定だったけれど、どんどんずれ込む。で、わたしが提案。「3人、わたしと一緒にカリフォルニ アロールを作り、別の3人はルエディが握り寿司を教える。しばらくしたら交代しよう」。チューリヒの自助団体の代表を務めるルエディは「お寿司の夕べ」の 企画実行者だ。お寿司はもう何度も作っている。「おお、それはいいアイデアだ。そうしようそうしよう」という舌の根も乾かないうちに、なぜかカリフォルニ アロールの作り方を見せる私の周りには6人が全員集まる。あれあれ。

Sushikursこうして予定はどんどんずれ込み、ようやく食事となったのは7時半。9時には帰りたいねと言っていたけれど、この調子ではまず無理だ。でも、みんな「おい しいおいしい」と自分たちで作ったお寿司をほおばる。作りすぎてたくさん余ったけれど、みんなで分けて持ち帰ることにしたらすべてなくなった。すばらし いぃぃ。

9時ごろに始めたキッチンの後片付けも、参加者が女性ばかりだったおかげでささささっと終わった。みんな手際がすごくいい。ルエディも額に汗して床を拭いていた。

結局つぶあんかけアイスのデザートを出し忘れた(いつも何か忘れる)けど、みんな満足そうに「次は10月ね!」などと言っている。ルエディは「しばらくはいい…」。私ももうちょっと休憩したい。家に着いたのは午前零時。ほぼ12時間労働だった。

この日は思いがけず、チューリヒのほかのろう者とも久しぶりに再会した。ルエディとの待ち合わせ場所に行く電車に乗るためにチューリヒ中央駅へ行ったら、 手話をしている人たちがいる。誰かな、知っている人かな?と思ってよく見ると、以前、ろうの高齢者たちの夏休み休暇の付き添いで一緒だったクリスティーネ だった。わ~、久しぶり~と駆け寄った。向こうも驚いて、久しぶりの情報交換。これからやはり夏期休暇へ行くところだと言う。

しばらくすると、その責任者のウルズラがやってきた。あ、メガネが変わった。出発時間が迫っていたのであまりおしゃべりできなかったが、数日後にティチー ノから絵葉書が舞い込んだ。差出人はウルズラとクリスティーネ。彼女たちらしい!クリスティーネに名刺を渡したので、絵葉書出そうよ、ということになった のだろう。葉書を見ながら、その光景が目に浮かんだ。