まるでアルプス

動物たちはいつも不意に現れる。

一番最初に来たのは数頭の牛だった。6年半前の秋の終わりだった。それから数年して馬がやってきた。いずれもそれほど長くはいなかった。

そして今日、お昼ご飯の準備にかかろうとしてキッチンへ行ったら、窓の外に羊の群れが現れた。目の前の牧場に、今度は羊がやってきたのだ。かなりの数。どこから来たのだろう?興奮して動画を撮っていたら、ちょうど牧人らしき人が2匹の犬を連れて窓の外を通り過ぎた。彼はまず、牧場の周りをあちらこちらへ歩いて羊たちを落ち着かせ、そのあと群れから少し離れたところに折り畳み式の椅子を出して腰かけた。そして、バッグからランチらしきものを取り出した。

目を羊に戻すと、数匹が砂利道まではみ出して、喧嘩をし始めた。あらら、うちの庭まで上ってくるかも?

と思っていたら……

1匹の犬があっという間にまた群れをまとめた。素晴らしい!

たくさんの羊が突然現れたので興奮し、お昼ご飯はなんだかわからないうちに終えた。牧人の様子もときどき伺い見る。散歩の途中らしき人と話したりしている。話しかける人は何人かいたよう。私も行こうかなぁ~、どうしようかなぁ。風が強いし、温かい飲み物とか、ちゃんと持っているのかなぁ。下手に飲んでトイレに行きたくなったらどうするのかなぁ。などと、考えをめぐらす。

ときどき窓の外を覗くと、牧人は自分の体を温めるためなのか、羊の群れを乱さないためなのか、あちらへ行ったりこちらへ行ったり。この牧場には柵がないから、きっと夕方にはまたどこかへ移動するのだろう。ルーシャも初めての羊の群れに、最初は興味津々だった(今は寝ている)。

スイスには、農家から羊の群れを預かり、移動させながら草を食ませている牧人がまだいる。まさか、家の中からそんな姿を見ることになるとは……。なんともエキサイティングなお昼だった。

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