世知辛いというか、モノを売るという行動、モノを売らなきゃという欲求がものすごく目に見えるようになってきた。スイス最大の都市チューリヒは日本の地方都市より小さい。変化に乏しい国だと思っていたけれど、ここ数年の変貌には少々驚いている。
古い街並みがどんどん消えて、どこにでもあるような大きなビルがぽこんぽこんと建ち出した。素朴な飲食店はしゃれたレストランやバーになり、チューリヒ一の高級通りに並ぶのは、これまたどの国にもある低価格ショップや高級ブランドのお店ばかり。スイスの個人経営店にはもう家賃が払えなくなり、みんな撤退してしまったのだ。
デパートへ行けば、年中、何かしら特別なテーマ商品が並んでいる。お正月は特に祝うことはないけれど、2月3月は謝肉祭のお菓子、その後はイースターのウサギチョコやゆで卵、8月1日の建国記念日はBBQ用の肉・ソーセージに花火、数年前からハロウィンの子ども用コスチュームも登場、そしていよいよクライマックスのクリスマス。ここ数年、クリスマス商戦が早くなっていると感じていたけれど、今年はもうハロウィン前からクリスマスツリーが飾られていて、興ざめだ。
これで終わりかと思いきや、今年は新たにアメリカの大セール「ブラックフライデー」が登場。今週やたらと目についた広告だ。セールをすれば飛びつく人やありがたく思う人は多いだろう。でも、なんだか踊らされている感じがするのは、私だけだろうか。
今の世の中は、何かしらモノを売らなければ生きていけない。それは重々承知だけれど、これだけ「商戦」が年中続くと、やっぱり何か物哀しい。
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