9年間お世話になった車に、夫と2人で感謝を言ってお別れした。比較的小さい車だったのでかわいく、お別れは悲しかった。新しい車は少しだけ大きい。「慣らし」のために1泊でジュネーブ湖畔に広がるラヴォーへ。私は何度か訪れているけれど、夫にとっては初めての場所だ。ブドウの木はまだ小さく、緑も少なかったけれど、天気は最高。昼間は美しいアルプスが青い空に映え、夜は満月がジュネーブ湖を照らした。
ブドウ畑の散策にもよさそうな日和だったけれど、上着を持たずに出たら意外に風が強く、2時間のドライブで渇いた喉をまずは潤そうと、湖沿いを散歩中に見つけたガーデンレストランに少し腰を下ろしたあと、すぐにホテルに引き返した。今度は上着を持って、電車でヴヴェイの町へ。ホテルが無料で電車に乗れるチケットをくれたのだ。ワインの産地としては、いいアイデア。ヴヴェイの街は以前、在住の日本人女性に案内してもらったことがあるので、少しだけ地理がわかる。湖沿いを歩いていったら「Street Food」の文字が目に飛び込んできた。路上にテーブルが並べられ、屋台がたくさん出ている。人出も多い。私たちはもう夕食を取ってしまったのでぶらぶらと歩き、雰囲気だけを楽しんできた。初めて見たとき、「これはフランス語圏のカルチャーかも」と印象に残った、湖に刺さる大きなフォークや岩の上に固定された椅子もちゃんとあった。
翌日は、着いた日にホテルから歩いていこうと思って断念したリュトリの町へ。ここにも以前、来たことがある。旧市街がとても素敵だった。ワインケラーもあるので、地元のワインを買って帰りたかったけれど、時間が早すぎてまだ開いていない。散策だけでもと思っていたら、ここの湖沿いでは蚤の市が開かれていた。ちらちらと売られているものを眺めながら、暖かい朝日の中を散策。細い路地の中はまだ陽が当たっていないけれど、古い建物と石畳がとてもやさしい。いつかまたゆっくり来たい場所だ。
着いたときは、丘の上の方にある幹線道路から湖まで下りるのに、途中の小さい村の狭い路地やブドウ畑の細い遊歩道を通り抜けるのに、どこかにぶつかって新車に傷がつくのではと思いっきりヒヤヒヤしたけれど(買ったその日に傷をつけようものなら、運転しているのは夫でも、行き先を提案した私が責められるのは間違いない)、無事に小旅行を終えて帰ってきた。初めてのラヴォーには夫も満足。私も満足。