月: 2014年11月

頭上を越えていく

スマホを持って出なかったことを後悔した。ちょっとした買い物中に電話がかかってくることはほとんどないが、行き帰りに思わぬ被写体に遭遇することがある。でも今日は空も曇っているし、まず写真を撮ることはないだろうと、スマホを置いてうちを出た。そうして何度も後悔したことがあるのに・・・・・・。

買い物を終えて家の近所まで帰ってきたとき、どこかの家の裏から鳥の鳴き声らしきものが聞こえてきた。首を伸ばしてなんだろうと見てみたけれど、わからな い。何匹かいるような感じだ。ときどき家の窓から、遠くの野原にカモメらしき白い鳥がどっさり羽ばたくのが見えることがある。そんな鳥かな。

そのまま砂利道を歩いていると、今度は同じようなクヮクヮ、ピョロピョロという鳴き声が空から降ってきた。はっと上を見上げると、なんと、真上をサギだか コウノトリだかの群れが緩やかなV字を作って西の方へ飛んでいくところだった。どのくらいか見当がつかないが、それなりに高 い。でも、ほんとに私の真上を、長い首を伸ばし、仲間同士で何やら話し合いながら飛んでいったのだ。はじめて見た光景。初めて聞いた会話。

灰色の空に浮かぶ黒く細い線が連なって私の頭上を越えていくのを見上げていると、オーストラリアのビーチで正面から私に向かって飛んできて、そのまま頭の 上を勢いよく飛び越えていった1匹のトビウオを思い出した。それから、初春の暖かい日に上から落ちてくる松ぼっくりが開く音も。

穏やかな秋の日に

今年は夏がなかった分、秋に恵まれているようだ。毎日、穏やかな暖かい日が続いている。日照時間はもうずいぶん短くなったけれど、太陽の光を浴びていると汗ばむほどの陽気。うちの村は標高530メートルと高いので、霧も早くに晴れる。朝からまばゆい。

中央スイス、シュタイナーベルクにて

中央スイス、シュタイナーベルクにて

今年は日瑞修好150周年記念で、恐ろしいほど催し物が多い。それ以外にもたくさんあって、これまで一つも観に行っていなかったが、10月からは何だか催し物にばかり行っている。どれも心に響くものばかりだ。それももうすぐ終わるというこのごろ、世の中はハロウィンの前からもうクリスマス気分。ちょっと早 すぎないか?浅ましいなぁと思う。経済というものは、後退はもちろん停滞すらも駄目で、成長していないといけないのだそうだ。国家や世界が経済破綻するのは困るけれど、そんなにせっかちにお金を得ることばかり考えていなくてもいいのに、と思う。私はやっぱりラクをしているんだろうか……。