先週の金曜日、久しぶりにバーゼルの町まで出かけてきた。去年、バーゼル美術館訪問の際に通訳をさせていただいた「+Relax」の越野清美さん(http://www.p-relax.com/) が、5日間スイス美術館めぐりツアーの「最後の晩餐」に招待してくださったのだ。私を清実さんに紹介してくれた友人、ジュラ州在住の小説家マルキ明子さん ももちろんいっしょ。もう何年も会っていないので、夕食の時間より2時間くらい早く待ち合わせをして、ツアーの皆さんが宿泊しているホテルのロビーでたく さんおしゃべりをした。
この日は、明子さんいわく「大阪の夏みたい」というくらい蒸し暑かった。ホテルのロビーは冷房が効いていておしゃべりに最適。フレッシュオレンジジュース もマヨルカのに負けないくらいおいしかった。久しぶりに会った明子さんはなんだか女性らしくなったような…。それとも、日ごろ真っ黒な顔ばかり鏡で見続け ているからかしら…。
日本からいらした総勢24名のみなさんも色白い…。シニアグループで中には80歳を超えている方もいらしたけれど、みなさん、若輩者の私にもすごくていね いな対応をしてくださった。男性も意外に多い。夕食で同じテーブルになった2人のご婦人からは楽しいお話、ためになるお話、愉快なお話などを、もう1人同 席されていたバーゼル日本人会会長のH子さんといっしょに楽しませていただいた。このH子さんとはここで初めて知り合いになったのだけれど、元気はつらつ で気負いのない素敵な人だ。もう1人の「現地人」、同じく初顔合わせだったガイドのH子(会長さんとは違う名前です)さんは、もうみんなからべた褒め。私はホテルからバーゼル駅まで案内してもらっただけだけど、とても礼儀正しい、やさしそうな人だ。私に列車を逃させちゃならぬと、一生懸命早足で歩いてくだ さった。あまりお話できなかったのが残念。「ケガも病気もなくてよかったですね」と言うと「それがみなさんからの一番うれしいプレゼントなんです」とおっしゃっていた。
今回、清実さんが仕事をしているところを間近で拝見させていただいたが、アートを身近に体験することで人々の生活をもっと豊かにしたいと考えている彼女の エネルギーと芸術や人間に対する愛情をひしひしと感じた。ツアーのお客さんはみんな口を揃えて「越野先生の大ファンなんです」とおっしゃる。そうなるのが 当たり前って感じ。
私は、恥ずかしいことにバーゼルに数ある美術館をほとんど訪れたことがない。亡くなった義父が一度、彼の友人と一緒に私をどこかの美術館に誘ってくれたこ とがあるが、はてさて、どこだったのやら…。清実さんの「美術館めぐりのおさらい」を聞いていて、私はすぐにいろんな美術館を訪ねたくなった。次の週末、 夫に相談してみたところ、彼も乗り気になったが、数日前にサッカーの試合でチューリヒがバーゼルに勝って今シーズンの優勝を決めたばかりだったので、 チューリヒナンバーの車でバーゼルに行ったら危険だ!という理由で延期になった。
夕食もお腹いっぱいごちそうになり、熱気が失せたガランとした上り(?)電車の中で、藍色に暮れ沈む窓の風景をぼんやり眺めながらチューリヒに帰った。ほんわかと暖かい気持ちに包まれて「ああ、チューリヒとは違うシルエットだなあ」なんて考えながら。