コンサート、オペラ、断りのメール

最近ずっと楽しいこと、うれしいことが続いていた。

まず、先週の金曜日と今週の月曜日には友人の歌手ジェラルディン・オリヴィエのコンサートがチューリヒであったので、夫と二人で観にいってきた。ゼヒセロイテンという春を迎えるお祭りの一環で、彼女もゲストとして招待されていたのである。お祭り用の大テントに舞台がしつらえられていて、私たちが着いた頃に はもうすでに会場は満杯。それでも舞台近くまで行くと、ジェラルディンを発見!彼女のおかげで特等席に座ることができた。でも、この日のコンサートは残念 ながら雰囲気がイマイチ。集まっていたお客さんはおしゃべりに夢中で、彼女のトークや歌にほとんど耳を貸さなかったのだ。唯一、ペアで踊るダンス向けの曲 のときだけ、「あれあれ」というほど大勢の観客が舞台に上がって、彼女の歌にあわせて楽しそうに踊っていた。でも、アンコールもなし。彼女もがっかりしていたな。

2回目の月曜日、夫も「また行こうぜ」というのでもう一度特等席で鑑賞(彼はおそらくビールが目当て)。今回の観客は金曜日と違い、ノリがいい。彼女はい わゆるシュラーガー(Schlager)という、いってみればドイツ歌謡曲の歌手である。ファンは年配の方が多い。会場では必ず隣の人と腕を組んでスイン グ。歌手との合唱もめずらしくない。ジェラルディンは今年で10周年を祝うだけあって、会場の雰囲気をうまく読む。舞台に人を上げて一緒に歌ったり踊った り。楽しい1時間だった。前回とは大違い!わざわざドイツからやってきた甲斐もあったというものだ。

このコンサートで気がついたことが一つある。意外にもチューリヒ人はダンスが好き!ラテン系に比べるとノリの悪いドイツ語系スイス人だが、踊れそうな曲に なると勝手にみんな舞台に上がりこんで楽しそうに踊り出す。いま、若者の間でサルサが流行っていることも理由の一つかもしれない。

昨日の水曜日は手話のコースがなくなり、友人に誘われてオペラを観にいってきた。4時間座っているのはつらいなあ、なんて思っていたけど、いざ始まったら まあまあおもしろくてけっこうすぐに時間は経っていった。出し物は「ジュリアス・シーザー」。一番安い席だったので、普段着と変わらない服装で出かけた。 舞台は半分くらいしか見えない。たぶん、満席だったと思うのだけど、休憩のあとには空いた席がいくつかできていて、そちらの高い方の席に移ったらずいぶん 舞台が見えるようになり、ますますおもしろみが増す。

でも、頭の中ではときどき、こないだはシュラーガーのコンサートで「ブラボー!」と叫ぶ人を見、今日はオペラでやっぱり「ブラボー!」を聞く。同じブラボーでも、中身はずいぶん違うんだよね、なんて考えながら。

昼間は昼間でいろんな人に会って刺激を与えてもらったり、『わが指のオーケストラ』翻訳出版の相談をしたりして、実りの多い日々だった。

……と思っていたところに、今朝のメール。このマンガの出版社からいまの条件では協力できないとの返事がきていた。が~ん。まさか、ここでつまずくとは思 いもしていなかった。でも数時間経つと、そうとんとん拍子にことが進むなんてこと、やっぱりなかなかない。このプロジェクトは立ち上げたばかり。もっと時 間をかけて計画を練り直そうと思うようになった。世の中、自分の思うようには動かないものなのです。

風邪を引いていながらも楽しそうに歌うジェラルディンとダンスを楽しむ観客

風邪を引いていながらも楽しそうに歌うジェラルディンとダンスを楽しむ観客

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