ギュッと凝縮 

幼いころはよくケンカもした。最近は帰るたびに姉妹や家族の優しさが身に染みる。11月半ばから2週間、汗ばむ陽気と雪の中で、スイスの日常とかけ離れた日本を体験してきた。

もともとは母が80歳を迎えた2月に帰ろうと思っていたのだけれど、私たちが結婚式を挙げた神社の遷宮や実家が檀家になっているお寺の晋山式が11月にあるというので、「これは絶対に行かなくちゃ!」と秋の一時帰国を計画。義兄・姉の夫婦が新しいお坊さんの寺親になったので、二人とも大忙しのところに私と夫は10日間居候させてもらったのだった。離れに住む母、伊勢に住む妹。叔母たち、甥っ子姪っ子。「呼び出し」に応じてはるばる集まってくれた友人たち。毎回うれしくて楽しくて、でも今回ようやくみんなの温かさに気がついたみたい。

奈良の曽爾高原。辺り一面ススキだらけ―のはずが、去年からあまり花が咲かなくなったそう。それでも、私たちには十分きれいだった

奈良の曽爾高原。辺り一面ススキだらけ―のはずが、去年からあまり花が咲かなくなったそう。それでも、私たちには十分きれいだった

行事はセントレアに降り立った日から始まった。まずは遷宮のパレードと義兄のライブ。私が通った小学校は来年3月で廃校になる。中学校はすでに廃校になっている。私たちが通っていた頃は1学年60人くらいいたのに、今では全校で20人ちょっと。小学校の生徒によるパレードも当時に比べれば寂しいものだったけれど、数十年ぶりに見物できたのは嬉しかった。

この日は気温も20度を超えた陽気だったのに、翌日の正遷宮は朝から冷たい雨。でもこんな儀式、そうそう見られるものじゃない。元気よく出かけると、神社にはすでに傘の花が咲き、その隙間から覗くのがやっと。それでも、神社の修復の間別棟に移されていた神体をもとに戻す神主たちが、外から見えないよう白い布に囲まれて歩いていく様子はやっぱりちょっと神秘的だった。

SONY DSC翌週末は晋山式。土曜日が前の住職の退任式で、夕方には境内で太鼓のパフォーマンスも予定されていた。ところが、天気予報は土曜も日曜も雨。みんな心配して、てるてる坊主を作ったりお祈りしたり。その甲斐あって、天気予報は徐々に変わり、雨は儀式の前後に降ったものの、儀式の間はまたもや汗ばむほどの陽気になった。すご~い。お寺だけど神がかり?SONY DSC

この儀式のためにお寺に集まった僧は総勢50人ほど。読経したのは20人くらいだったろうか。すごい迫力だった。我が家でも早朝7人のお坊さんが読経。これだけでも、あの古い日本家屋の一室ではかなりの迫力。こんな経験はもう二度とないだろう。

式の最中は、司会進行役の僧が一つひとつわかりやすく説明。と言っても、私は写真を撮るのに気を取られて、あまりよく聞いていなかったけれど。ごめんなさい。新しく就任した若和尚は、自分のためにこんなに大勢の人がこんな儀式をしてくれていると、式の最中、涙していた。この時の思いを忘れずに、檀家とともに檀家とお寺のために尽力してもらいたいと願わずにいられなかった。

SONY DSC次のお楽しみは渋温泉と地獄谷。幼いころにニッセイのCMで見た、温泉に入るサルがかわいくて、いつか行けたら……とずっと思っていた。今回、夫が「ホテルの大浴場じゃなくて、もっと温泉らしいところに行きたい」というのでネットで探したところ、渋温泉がシブそうだった。ここからはその気になれば地獄谷にも歩いて行ける。「千と千尋のナントカ」の舞台になったとも言われている金具屋に思い切って宿を取る。昭和11年に建てられた木造家屋で、国登録文化財になっているだけあって、あちらこちらに遊び心が散らばっていて、中を歩いていても楽しい。夕方には9代目が館内を案内

建物の中にもう一つ建物がある。この玄関を開けると土間があり、本間と次の間があるという、贅沢な造り。寒くなったので、ちょうどこの日から炬燵も出したということで、ラッキー

建物の中にもう一つ建物がある。この玄関を開けると土間、そして本間と次の間があるという、贅沢な造り。寒くなったので、ちょうどこの日から炬燵も出したということで、ラッキー

してくださる。これも粋な計らいだ。ただ、隙間風も強く、暖房が効いていない廊下や階段はかなり寒い。まあ、ちょうど私たちが到着した日から気温が零度くらいまで下がり、雪が舞い始めたのだけど。

でも、この気候はまさに地獄谷にうってつけ!夜もおそらく雪は降り続いていたのだろう、朝の瓦屋根は真っ白。歩くと1時間かかるというので、雪でもあるし、バスを利用することに。地獄谷に行くには、最後30分の道のりは必ず歩かなくてはいけない。ちょうどいい散歩だと思っていたけれど、林の中の道は雪が積もりきれず、ぬかるみ状態。時おり、サルが道路の脇を歩いていたりもする。

雪の露天温泉に着いてみると、50匹くらいのサルがあちこちに散らばっていた。ワクワクしながら、すでに2、30人くらい集まっている観光客の中に混じる。サルはとても人慣れしていて、平気で思うがままにふるまっている。人間だったらとてもこうはいかないだろうに……。カメラを抱えていることにちょっと抵抗を覚えながらも、サルたちにレンズを向けた。

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今年は何十年ぶりに日本でコンサートにも行き、何十年ぶりの再会もあり、いろんな出来事がギュッと詰まった滞在だった。夫もいたく満足したようで、改めてお礼を言われたほど。とっても幸せな2週間だった。

善光寺の紅葉

善光寺の紅葉

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