地中海に浮かぶマヨルカ島はヨーロッパの人気の休暇地だ。太陽の日差しを長々と楽しむことができるし、採りたての野菜や果物、オリーブなんかもとても美味しい。
そして、この島にはフィンカという、農家を改築した宿泊施設もたくさんある。たいていは何部屋もある大きな建物でプールもついている。家の周囲は果樹園などに囲まれて広々としており、プライベートの時間を満喫できる。
2年前、珍しい2人用のフィンカを見つけ、1週間ばかり滞在した。オーナーの男性はドイツで働いた経験を持ち、ドイツ語がペラペラだ。部屋もプールも清潔だし、約束の時間もきっちり守ってくれる。ドイツ語圏のリピーターが多いようで、去年はもう予約できなかったけれど、今年9月に2週間弱滞在することができた。
海水の温度はまだまだ高く、もうすっかり秋の気配が濃くなったスイスとは違って、再び真夏の中で蚊に刺されまくりながら太陽エネルギーをたくさん吸収してきた。
実はこのマヨルカも、今はオーバーツーリズムで住民のデモなども起こっている。私たちが滞在した場所はそれほどの観光地ではないので、比較的静かだ。首都のパルマ・デ・マヨルカには毎回1度は遊びに行っていたけれど、デモのニュースを見てしまったので、今回は「やめようね」ということになった。でも、名の知れた街はどこも大勢の観光客でまみれているよう。そして、ホテルやお店が立ち並ぶ海岸も。
スイスで日ごろハイキングに行く場所はほとんど人とすれ違わないようなところが多いけれど、ビーチの選択も同じだ。デッキチェアやビーチパラソルの貸し出しもなければ、店もなく、トイレもない。駐車場からは20分くらい、大きな石がごろごろしている坂道を、タオルやらパラソルやらの荷物を持って歩く。そこにいるのは、自然の多い静かなビーチを好む人たちだ。
毎日毎日、朝ゆっくり起きてお昼前に海に向かい、3時間ほど砂浜に寝転がって読書をしたり、ぼ~っと空や海を眺めたり、プールのような海で泳いだり。そしてまた20分ほど上り坂を歩いて車に乗り込み、フィンカに戻る。シャワーを浴びてさっぱりした後の楽しみは、もぎたてのイチジク。庭の木にたくさんなっているので、自由にとって食べていいのだ。オーナーが食べごろのイチジクの見分け方や、冷蔵庫で1時間くらい冷やしてから食べると美味しいと教えてくれた。暑い中、ほんのり甘く、さっぱりと冷えたイチジクは格別のおいしさだった。これぞ、ぜいたく!

