雨上がりの遅い午前、太陽まで出てきたのでさっと買い物を済ませることにした。今週1週間はずっと雨模様の予報なので、西の空は明るいけれど、念のため折りたたみ傘を持ち、サングラスをかけて家を出る。傘とサングラスを両方持って出ることは少なくない。1日の間に天気が目まぐるしく変わるのだ。
スーパーへ行く途中、顔見知りの庭師が道端の花壇で仕事をしているのを見かけた。近所に住む人だ。役場の仕事をしていて、しょっちゅう花壇の整備をしているのを見る。通り過ぎたとき、彼がふっと顔を上げたので挨拶を交わした。村にはあちこちに花壇があって、いつもとてもきれいに手入れされている。それに植えられている花のセンスがいい。だから、今日はそれを彼に伝えられたらいいな、と思った。買い物を終えて同じ道を帰るときも、彼はまだ作業中だった。小雨が降り出したけれど、よしっ!と思い、「雨の後は仕事がしやすいですね」と声をかけた。それからひとしきり園芸の話をし、「これ以上邪魔しませんからね~」と、私は家の方に向かった。いつも挨拶はしていたけど、ちゃんと話をしたのは初めてだった。
途中、パン屋さんに寄る。軒先に出された一組のテーブルには見慣れた姿が…。何とかテリヤみたいな小さな犬を連れ、帽子を被っていつも自転車で走り回っているひげのおじさんだ。小沼のほとりにあるBBQ用の場所で1人で火を起こしてお昼を食べていたり、近くのスリランカ料理屋で夕食を取っていたり。私は村の中を歩き回っているので、彼もあちこちで見かける。これまでやっぱり挨拶しか交わしたことはなかったけれど、彼が店に入ろうとしていた私の顔を見直して、「お元気ですか?」と話しかけてきた。テーブルの上にはクロスワードパズルを広げている。ここでも少しお天気の話やらをしてからパンを買って別れを告げた。
子どもがおらず、翻訳という孤独な作業をずっとしているからなのか、元々こういう性質なのか、人と知り合いになり、路上でちょこちょことおしゃべりできるのが嬉しい。今日は一挙に2人と話をした。以前住んでいた場所では、みんな車で移動していたので、歩く人と出会う機会はほとんどなかったけれど、ここでは気さくに話をする機会が少なくない。ほくほく。
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