スイスの農家の意外性

お盆の前後、スイスの農家の視察・ヒアリングに同行して通訳をさせていただいた。事前に訪問先を見繕い、アポイントを取る。農業関連の通訳の経験はあるものの、もう十何年も前の話で、その時はアポを取る必要もなく、ただ同行して通訳をしただけだった。

先輩通訳から訪問先探しの情報をもらうと同時に、家の近所に適当と思われる農家がたまたまあり、たまたまネットでメールアドレスも見つけたので連絡を取ってみたところ、すぐにOKの返事が来た。中山間農家も訪れたいとのことだったので、ウェブサイトを設けている近くの山間部の農家にいろいろと当たり、紆余曲折はあったものの、チューリヒ州での訪問先は比較的早く決まった。

残るは土曜日に訪れたいベルン州の農家。1軒はすぐに決まったが、最後の1軒がなかなか見つからない。夏休み中でもあったし、穀物や飼料になる草の刈り入れなどで忙しい真っ只中でもあったからだろう。5~6軒に断られたが、どこも受け入れたいけれどスケジュール的に無理だという返事だった。明らかに関心なしというのは唯一、「俺はそんなことはやらん」と言い放って、私がまだしゃべっている途中でがちゃんと電話を切った男性のみ。皆さん、寛容なのに実際驚いた。

いくつかの農家で「どうしてこんなに簡単に引き受けてくれたの?」と聞くと(農家ではすぐに名前で呼び合い、打ち解けた話し方になる)、「面白そうじゃない。それに、日本の農業についても話が聞けるかもしれないし」という答え。忙しい最中に訪ねているのに、どこでも温かく出迎えてくれて、延々と続く質問に丁寧に答えてくださった。

自分自身も若かりし頃、外国の農場で働いた経験を持っていたり、子どもたちが外国での労働経験をしていたり、という農家も珍しくないようで、中には英語がペラペラの人もいた。今回いろいろな農場へ行って、目からうろこの思いだ。

また、これまで農家はただ牛を飼ったり野菜や穀物を栽培しているだけだと思い込んでいたけれど、直接支払いなどの支援金を受け取るための事務的な作業もたくさんこなさなければならないし、みなさんの話を聞いて農業従事者と世間一般の考え方のズレがどういうところにあるのかも理解できたような気がする。私自身、いろんな意味でとても勉強になったお仕事でした。

今年はかわいい朝顔がいくつも花を開かせた

2 comments:

  1. 豊田裕子

    千早 元気にしてる? この夏は恐ろしく暑かった、まだ暑い。スコールあるし、熱帯やん。 そちらは秋が来ているかな? ご無沙汰していても千早のブログがあると元気なのがわかってうれしい。ありがと~またね~ ゆうこ

    1. webadmin *

      こちらは一時、秋を通り越してまるで冬のような寒さだったけど、今また盛り返して秋らしくなったよ。太陽や青空はやっぱり気持ちいい!もうすぐ10月だけど、黄葉の中をハイキングできるといいなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください