終わらぬ夏

…とはいえ、さすがに朝晩は冷え込み、秋特有の朝靄も出だした。真夏に一時、雨と低温が続いたけれど、その後はときどき雨をもたらしながらも晴天が続き、今ももう10月半ばに近づこうとしているのに昼間は半袖でも十分という暑さだ。こんなことはスイスに住んで以来、初めてではなかろうか。今年は嵐が少なかったけれど、ここ数年、強風のときはその強さが増していることも実感している。温暖化は確実に進んでいるのだ。

夏の間は朝早くウォーキングに出ると本当に気持ち良いのだけれど、この夏はボリュームのある翻訳の仕事がいくつかあり、しかも納期が少々厳しかったので、新聞も読まず、ずっとPCの前に張り付くことが多かった。その仕事が終わり、ちょっと一息ついたら今度は秋の視察団のシーズンに移行。環境専門家の友人のお手伝いや毎年恒例になった研修などで、川やら森やらを汗を拭き拭き歩き回ってきた。コロナ前からウォーキングを始めて野道や森の中を歩くことが増え、太陽が出ていると外に出なきゃとうずうずするようになったので、こういう仕事は嬉しい。視察団の皆さんも出迎えてくれる人々も、みな親切でユーモアたっぷりでよく笑った。通訳はうまいとは言えないけれど、普段うちに閉じこもって1人で仕事をしているので、いろいろな人に出会い、いろんなことを実際に目にすることができる場は、私にとってもとても貴重だ。

10月最後の週末には夏時間も終わり、おそらく日中の気温もずいぶん下がることだろう。仕事に追われることが減ったら、また野道を歩き、キッチンで納豆やらジャムやらを作り、日の出や日の入り、星空を眺めてゆったりと過ごそうか。

当たり前のことのようだけれど、とても恵まれたことに違いない。

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