我が家の花壇は隠れ野菜畑

今年の9月15日でこの庭付きアパートに引っ越して10年になる。あっという間の10年。

10年経つと庭の様子もずいぶん変わる。当初は好きな花を花壇に植えて、でも花と花の間には十分距離を取ってさっぱりした花壇にしたいと思っていた。真ん中に小さな丘を作ってそこに南欧風のテラコッタの壺を寝かせ、その周りを背の低い花で囲み……。

年月とともに自分で植えた花も少しずつ増えていったけれど、どこかから種が飛んできて立派に育つ花も少なくない。わやわやと芽が出て葉っぱが出てくると、なんだか引っこ抜くのも気が引ける。とりあえず花が咲くかどうかを確かめて、あまりにも雑草っぽいものは悪いけど花壇から出て行ってもらう。

そんな風にしていたら、花壇は最初のプランと大幅にずれ、今やまるで野放しに近い状態になってしまった。おまけに、春に撒くコンポストもどきから毎年いろんな野菜や果物が育つ。これまで小さなハーブ園にマスクメロンがなり、花壇からじゃがいもが採れ、去年芽を出したフランボワーズが今年実を作り、今年はオレンジ色のカボチャがすくすくと育っている。周囲のアパートの住人は、こやつはいったい何をやっているんだろうと呆れながら花壇を眺めていることだろう。

失敗したのは、去年買った葉わさび。数年前に見つけていつか買おうと思っていた。東北出身の友人によるとこれは葉わさびのようだけど、説明書きには根を食するとある。しばらく育ててから根を掘ってみようと思っていたら、今年の春枯れてしまった。水を大目にあげるというふうにネットで読んだので、そうしていたら根腐れしてしまったようだ。根が腐ってしまったということはもう救えないんだろうなぁ。残念。チューブや粉じゃない、新鮮なわさびの味を夫にも楽しんでもらいたいと思ったけれど、だめだった。もともとわさびはあまり使わないし、当分再挑戦はしないかな。

今年は異常に暑く雨の少ない夏だったせいか、とんがり頭の白いあじさいの色が今一つだ。春の真っ白な花が、季節の移り変わりとともにイチゴミルクのようになり、最後には赤く染まるのが、今年は茶色がかった、あまりきれいとは言えない色合いだ。

春の咲き始めは純白の花だった。二株だけなのに、やたら大きく育ってくれて、遠くからでもよく見える。時折、道行く人が「きれいですね。目の保養になります」と声をかけてくれる。夫も自慢げだ。

その下に隠れるように花を咲かせる丸い方のあじさいは、今年は1年中せっせと根元に撒いていたコーヒーかすのおかげで青い花をたくさん開かせた。花の数が多くて驚いたけれど、それにも増して濃いブルーが思ったより美しくてうれしくなった。本当は日本にあるような淡いブルーにしたかったのだけれど、これはここの土では難しそう。この青というか紫というか、盛りが過ぎて色が褪せてきたときにこれまでに見たことのない人工的な青に変わって、「へぇ~」と驚くやらうれしいやら。

自然は人間の思い通りにはならなくてがっかりさせられることも多いけれど、こんな風に思わぬ贈り物も届けてくれる。

 

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