空と農家からのプレゼント

天気予報では昨晩から雨が降り出すはずだった。好天の昨日、あちらこちらから芝刈り機の音が聞こえる中、私は頭の隅で気にしながらもPCに向かって過ごしていた。夜、天気予報を見ながら、「明日はやっぱり雨だよなぁ。これからしばらくは雨だなぁ」と、芝刈りのチャンスを逃したことを少しばかり後悔していた。今日は朝から曇り。雨は降っていない。このままお昼ぐらいまで雨がなければ、ひょっとしたら夜露に濡れた芝生もそのうち乾いて芝刈りができるかもしれない。そんな淡い期待を抱いた。ときどき陽が射す。青空もわずかに覗く。何度か外に出て芝生に触ってみる。そして、朝から比較的暖かく、風も少しあるおかげで、お昼前には芝生を刈ることができた。ほぼ望みなしという天気予報だったので、何だか空からプレゼントをもらった気分だ。

近くの農家からも今年は思いがけないプレゼントをたくさんもらった。私のウォーキングルートの1つになっているすぐ近くの耕作地帯に、引っ越して9年目にして初めて菜の花が植えられたのだ。それもあちこちに!気持ちまで明るくしてくれる輝くような黄色い絨毯が、近くに遠くに巻き広げられている。

自宅から徒歩往復2時間で行ける場所は、自然保護区域になっている湿地帯や小さな湖や沼、今は新緑が目にやさしい森、広々とした耕作地や牧草地と、のどかな場所が多い。コロナ前に1人でウォーキングを始め、今は夫と2人でてくてく、あちこちを歩いている。引っ越して9年目、ようやく森を抜け丘を越えて近隣の村に続く道をだいたい把握した。

そんな風景の中を2時間も歩くと、森の表側と裏側の丘陵地でそれぞれタンポポが満開になっていたり、すでに一面綿帽子になっていたりと、微気候もはっきりとわかる。桜が散って、今はリンゴの花の淡いピンクが可愛らしい。この雨できっとリンゴの花も散り、今はライラックが開花し出した。春は本当にエネルギーに満ち、新しい生命がまぶしい季節だ。

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