今年の秋は紅葉や黄葉がとても美しい。散歩やウォーキング中は、トンビやサギが滑空する広い空を眺め、少し目を下ろしてさまざまに色づいた木々を楽しみ、すっかり収穫が終わってまっ平らに広がる畑の茶色や、朝晩はすっかり冷え込む今でも意外とみずみずしい牧草地の緑に目を休める。
日本の紅葉や桜の細やかな美しさとはまた違う、おおざっぱながらも芸術的なグラデーションに思わず目を奪われる光景だ。
積み重なる落ち葉の上を、わざとかさこそと音を立てて歩くのも楽しい。生えている木の種類によって、道に落ちている枯れ葉の色も違う。
暗い森の縁には苔がむし、間から小さなキノコが顔を出している。
街中の塀にも秋はある。深緑のつたに絡まる鮮やかな紅。こうして思うと、春の穏やかな色とはまったく装いが違う。夏のエネルギーを思い切り吸い込んで、それを最後に吐き出しているのだろうか。
そして、極めつけがこれ!いつも何かと気の利く贈り物をしてくれる友人が、昨日そっと郵便受けに入れておいてくれた。実家の庭でもあの心地よい香りを放っていた、金木犀。今では、スイスでも手に入る。2年前、一度「香りを楽しみにおいで」と友人が呼んでくれた。去年は機会を逃し、今年はどんな具合だったのかなぁと思っていたら、それに呼応するようにこのかわいい小瓶が届いた。香りはすぐに薄れてしまいそうだけれど、思いがけなく色も姿も楽しめて鼻腔のみならず心までくすぐられた。
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