ウォークマンって何?

少し前、スイス国営テレビだったろうか、ウォークマンが発売されて40年というニュースを流していた。その中で、街を行く若者に「ウォークマンって何か知ってる?」と質問したのだが、知っている子は一人もいなかった。私たちの世代の青春時代(死語?)には、ウォークマンは今のiPodのように常に携帯され、耳にはイヤフォンが突っ込まれていた。たった40年でウォークマンに代わる製品が出てこようとは、あの頃いったい誰が想像しただろうか。

スイスではまだまだ一般家庭には普及していないけれど、日本では今や冷房のない家などないだろう。北海道はわからないけれど。ウォークマンからさらにさかのぼって、思いはなぜか保育園に通っていたころへ。お昼寝の時間になると、ビニール製の編み込みマットの上に子どもたちを寝かせ、保母さんが団扇を持って歩き回りながら風を送ってくれた。裸足の足の裏がマットにちょっとくっついては離れるときにぺりっと音がするのが好きだった。おばあちゃんが載せてくれた乳母車の車輪ががたごと鳴る音も。雨傘に落ちる雨の音。鯉に酸素を与えるためにこぽこぽと池に流れ落ちる水の音。懐かしい、やさしい音へと思いはさかのぼっていく。

週末によくジョギングに行くコースである日、若い子がイヤフォンをはめてジョギングしているのを見かけた。天気が良く、空からいろんな鳥の鳴き声が降っていた。森の中にいて、こんな素敵な自然の音色を聞き逃すなんてなんてもったいないと思ったけれど、考えてみたら、あの子くらいの歳の時には、私もきっといつもイヤフォンをはめて音楽の世界に浸っていたのだろう。

うちから眺める西の空は、毎日いろんな顔を見せてくれる

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