8月最後の土曜日、ザンクトガレンで初めてお寿司教室のお手伝いをした。これまで2回、チューリヒのろう者センターで行われた「お寿司の夕べ」で30人分 くらいのお寿司を作るお手伝いをしたが、作り方を教えるのは初めて。6人の女性が参加して、みんなでワイワイ(参加者の1人を除き、全員がろう者だったけ どにぎやかだった)お寿司を作った。
寿司作りの経験のある人はひとりもおらず、巻き寿司は力の入れどころがわからずにぺしゃんこになったり。面白いと思ったのは、このお寿司シリーズではいつ も計画通りに進まないこと。作業手順や巻き寿司の中身をきちんと紙に書いて決めている割には、全然その通りに行かない。
この日も3時開始で6時にはみんなで作ったものを食べ始める予定だったけれど、どんどんずれ込む。で、わたしが提案。「3人、わたしと一緒にカリフォルニ アロールを作り、別の3人はルエディが握り寿司を教える。しばらくしたら交代しよう」。チューリヒの自助団体の代表を務めるルエディは「お寿司の夕べ」の 企画実行者だ。お寿司はもう何度も作っている。「おお、それはいいアイデアだ。そうしようそうしよう」という舌の根も乾かないうちに、なぜかカリフォルニ アロールの作り方を見せる私の周りには6人が全員集まる。あれあれ。
こうして予定はどんどんずれ込み、ようやく食事となったのは7時半。9時には帰りたいねと言っていたけれど、この調子ではまず無理だ。でも、みんな「おい しいおいしい」と自分たちで作ったお寿司をほおばる。作りすぎてたくさん余ったけれど、みんなで分けて持ち帰ることにしたらすべてなくなった。すばらし いぃぃ。
9時ごろに始めたキッチンの後片付けも、参加者が女性ばかりだったおかげでささささっと終わった。みんな手際がすごくいい。ルエディも額に汗して床を拭いていた。
結局つぶあんかけアイスのデザートを出し忘れた(いつも何か忘れる)けど、みんな満足そうに「次は10月ね!」などと言っている。ルエディは「しばらくはいい…」。私ももうちょっと休憩したい。家に着いたのは午前零時。ほぼ12時間労働だった。
この日は思いがけず、チューリヒのほかのろう者とも久しぶりに再会した。ルエディとの待ち合わせ場所に行く電車に乗るためにチューリヒ中央駅へ行ったら、 手話をしている人たちがいる。誰かな、知っている人かな?と思ってよく見ると、以前、ろうの高齢者たちの夏休み休暇の付き添いで一緒だったクリスティーネ だった。わ~、久しぶり~と駆け寄った。向こうも驚いて、久しぶりの情報交換。これからやはり夏期休暇へ行くところだと言う。
しばらくすると、その責任者のウルズラがやってきた。あ、メガネが変わった。出発時間が迫っていたのであまりおしゃべりできなかったが、数日後にティチー ノから絵葉書が舞い込んだ。差出人はウルズラとクリスティーネ。彼女たちらしい!クリスティーネに名刺を渡したので、絵葉書出そうよ、ということになった のだろう。葉書を見ながら、その光景が目に浮かんだ。
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