ばか正直者

先週の金曜日、お金を下ろそうとチューリヒ中央駅の地下にあるATMを利用した。機械に近寄ってカードを差し込もうとして「あれっ?」お金が出てくる下のスリットに100フラン札が挟まっている…。

「前の人が忘れたんだ!」

お金を下ろそうとして、下ろしたお金を取り忘れる。そんなことがあるの?

あるんです。わたしもやりました。

そのときはわたしの後に誰もいなかったので、しばらくしてからお金を取っていないことに気がついてすぐに窓口へ行ったら、係りの人は少しも怪しまず 「あっ、そうですか」とすぐにお金を渡してくれた。数十秒とかたってもお金が取り出されないと、また引っ込むシステムになっているのだろう。

他人のお金を発見した金曜日、わたしがATMの5メートル手前くらいにいるときに、前の人がその機械から離れたように記憶している。男性だったと思う。 で、すぐにその100フラン紙幣を取り、辺りを見回して「この人かも」と思う2人連れの男性のところへ走った。でも、その青年たちは顔を見合わせて「い や、僕のじゃない」と言う。そこにどやどやと、ほかの連れたちもやってきた。わたしは「わたしたち、みんな正直者だよね~」と言ってその場を離れ、プール へ行くため電車に飛び乗った。

電車の中で、たまたま携帯に登録してあった銀行の番号に電話をかける。「こうこう、こんなわけなんですけど、どうすればいいですか?」

「ん~~~。本店ならお金を引き取って、誰のお金か探せるんですけどね。うちではわからないんですよ。貰ってくれてもいいですよ」だって。

でも、金曜日に100フランを下ろす人、きっとこのお金が戻ってきたらうれしいと思う。とはいえ、もう電車に乗ってしまったので、月曜日にお金を返しに行 くことにした。お金がなくてお腹をすかせた週末になっても、死にはしないだろう。これに懲りて、次からは気をつけるだろうし。

というわけで、今日、銀行の本店へ行ってきた。コンピュータで、5月27日12時55分くらいに中央駅Sihlquai出口にあるATMの左側の機械でお 金を下ろした人を調べるのかと思ったら、わたしの名前を紙切れに書いて終わり。取り忘れた人が見つかったらお金を返すという。わたしにも何らかの連絡があ るらしい。「いまどき、こうやって正直に届けてくれる人は珍しい」と言われた。バカ正直?夫にも最初は馬鹿にされ、あとから「お前の性格、すごいと思っているんだよ」と慰められた。

このとき例の100フラン札も銀行に渡したので、「誰も見つからなかったら、あのお金はいったいどこへ行くんだろう」と少々疑問を抱きながらも、気分はさっぱり。次にATMでお金を見つけたときは十数秒待ってみよう。

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