月: 2011年2月

想像力不足

最近は割合暖かい日が続いている。 花粉が飛び始めたと見え、わたしの目や鼻が反応し出した。鳥の鳴き声もたくさん聞こえてくるようになり、うれしいけれどつらくもある時期がまたやってきた。

先日、電車の中で目の不自由な女性を見かけた。盲導犬を連れていて、どうやら私と同じ駅で下車するもよう。「何かお手伝いできますか?」と声をかけると、 こちらを向いてにこっと笑い、「いいえ、ありがとう。1人で大丈夫です」とおっしゃる。私は反射的に笑顔でうなずいて先に電車を降りた。

そのあとで「ああ、しまった」と思った。どうして「わかりました。じゃあ、よい一日を」とでも言わなかったのだろうと後悔した。彼女が私のほうを向いて話 したので、私の顔を見ている気になり、彼女の言葉に無言で反応してしまったのだ。私の顔は彼女にはぼんやりと見えていたかもしれないし、まったく見えてい なかったかもしれない。自分から声をかけておいて、無言で去ってしまうなんて、なんて失礼な行動だろう。そのあと、しばらく落ち込んだ。