月: 2008年11月

肉食獣になった夜

ああ、本の翻訳を進めなくちゃいけないのに、逃避癖は子どもの頃から治らない。3つ子の魂百まで。3つのときから私はいつも逃避していたのかしら。

先週末、突然、夫が「フロレンティーナステーキが食べたい」と言い出した。彼は肉食獣なのだけれど、私は月曜から木曜まではなるべくお肉を使わない料理を心がけ、金曜は魚の日としている。アルコールも週末以外はほとんど飲まない。なので、週末は彼にとって、とってもとってもうれしい日だ。私は血の滴るよう な肉の塊は苦手。でも、彼はバルコニーのグリルでお肉を焼くというから、私も何か焼けそうなものにしなくちゃなあ。

大きなお肉もあっという間に食べてしまう夫

大きなお肉もあっという間に食べてしまう夫

というわけで、フロレンティーナステーキ用のお肉を売っているお店へ行ったら、このお肉、でかいわでかいわ。厚さは10センチくらいあったのではなかろうか。こんなの食べるの~?

で、私は何にしようかと迷っていたら、ふと仔牛のコトレット(骨付き肉)が目についた。コトレットはスイスでは豚肉が多い。仔牛は珍しいし、今日はひとつ 奮発してこれにしよう。…と注文したら、こちらもでかい!ゆうに手のひらくらいはある。それにやっぱりぶ厚い!え~、これを私一人で食べるの~?

こんなに大きい肉の塊を食べる日がくるなんて……

こんなに大きい肉の塊を食べる日がくるなんて……

フロレンティーナが約500グラム、仔牛のコトレットも450グラムあった。骨や脂肪の分もあるとはいえ、二人で何と1キロもの肉を食べなくちゃならない。考えただけでも憂鬱になった。夕食までに何とかお腹を減らさなくちゃ。「今日はこのお肉とサラダだけで十分だね」

これが正解だったらしい。パンも少し食べたけれど、食後のお腹はそれほどパンパンにはならず、ほどよい腹8分目といった感じ。夫は、外側がカリカリに焼 け、中はほとんどナマ状態のとろけるようなお肉に大満足。私もちょうどよい具合に焼けた仔牛(どちらかというとウエルダン)に舌鼓。炭火焼の豚肉のコトレットも比較的好きだが、仔牛はやっぱり格段においしい。お肉だけで8000円くらい支払った、これまでの私たちの人生で最も豪華な夜でした。