月: 2008年5月

モグリのお墓は花でいっぱい

嵐は少しずつ収まりつつある。ときどき、まだ小雨がぱらつくけれど…。

精神的にも物理的にも夫がそばにいてくれること、昼間外に出て仕事をさせてもらっていること、とても、とてもありがたいと思う。そしていろいろな人からの励ましと慰め。

モグリの死を一緒になって泣いて悲しんでくれた人たち、メールで励ましてくれた家族や友人、事故現場に置いたキャンドルに火を灯してくれた人、「事故に 遭ったんですってね」と慰めの言葉をかけてくれた、時々バス停で見かけていた女性、モグリの死を聞いたといって励ましの手紙を郵便箱に入れてくれた、ほと んど言葉を交わしたことのない近所の人、最近になって小さなお墓を色とりどりの花で飾ってくれる人…

そして今日、会社からの帰り道にお墓に眼をやると、昨日私が新しく買った鉢植えのほかにもう1つ、立派なガーベラの鉢植えが置かれていた。そして、墓石の前はまたかわいく花でデコレーションされている。いったい誰なんだろう…。

Mogli_Grabstein2

いないとわかっていても、視線はついつい木陰や草むらの中へ動いてしまう。モグリとよく一緒に散歩した場所へはまだ一度も行っていない。あれから夢も見な い。夫のところへは時どき遊びに行っているみたいなのに。もっと元気にならなくちゃ、私のところへは来てくれないのかな。

初めてモグリに会ったとき、私はそのやんちゃそうな眼に一目ぼれした。腕白だけど、ケンカが嫌いで誰とでもけっこう仲良しになる。人間はもちろん犬の友達 もいたし、ひょっとしたらハリネズミやキツネとも仲が良かったかも。今ごろは天国で、父や義父や祖父母にかわいがってもらっているんだろうな。

誰か大切な人を突然失った人はみんなそうなるのかもしれないが、モグリを失った直後、私は夫まで失いそうで、とても怖かった。モグリのことを悲しんでばか りいると、「それなら彼を連れてっちゃうぞ」と運命が夫をさらっていってしまうかもしれないと思ったりもした。そして、人生いつ何が起こるかわからないと いうことを全身全霊で感じた。毎晩、2人とも健康で床につけることを本当にありがたいと思うようになった。やりたいこと、誰かにやってあげたいことは今す ぐやらないと、もう明日はないかもしれないと思うようになった。

夢の中の幸せ

今朝、モグリがいなくなってから初めてモグリの夢を見た。

モグリは数日前にうちに帰ってきていた。

以前とまったく変わらない姿で、元気に藪の中へ飛び込んだり、そこから顔をのぞかせたりしていた。

モグリの毛はやっぱり豊かでスベスベで、私はモグリの背中を撫でながら、

「帰ってきてくれて、とってもうれしいよ」と言った。

とても幸せだった。とても。

そして、そこで目が覚めた。

 

嵐はまだ胸にわき立つ。

頬を打つ雨はなかなか乾こうとしない。

毎晩、夫とお墓参りに行くのが日課となった

毎晩、夫とお墓参りに行くのが日課となった