ため息とモグリファン

語学ってむずかしい。私にはやっぱり語学の才能はないようだ(涙)。

水曜日は手話、木曜日はドイツ語のコースに通っているのだが、今週はどちらともため息混じりで帰宅。

手話の授業中、先生のみごとな手話を見ていると、「ふんふん、なるほど」と思うのだが、いざ自分でやるとなるとなんだか全然違う。今さら言うことじゃないかもしれないが、少し会話ができるようになったからだろうか、ボキャブラリーの少なさや自分の手のあいまいな動きがにくらしい。

ボキャブラリーの少なさといえばドイツ語も。受身的なボキャブラリー(読んだり聞いたりしたときにはわかる単語)はそうでもないけれど、能動的な方(自分 で書いたりしゃべったりできる単語)がまだまだ少ない。そして、増えない。努力が足りない!といわれればそれまでかもしれないが、なんだか限界が見えてきた感じだ。ため息…。

…という今日この頃だが、それでも一つ、うれしいことがあった。

昨日、ドイツ語のコースに行くのに近所のバス停で新聞を読みながらバスを待っていた。そこへ反対側のバスがやってきて、女性が一人バスから降りた。新聞を読む目の端に映る女性は、なぜか私の方へ近づいてくる。この先にはもう歩道はないのに。

「すみません、こんな風に突然話しかけたりして…」

新聞から目を上げると、同年代くらいの女性がにこやかに立っている。

「あなたとネコが一緒に散歩しているのをときどき見かけて、とってもかわいいなあっていつも思ってたんです」

あらら…。モグリファンがここにもいた。

「私もネコが大好きなんですけど、いまは飼えなくて…。あなたたちが散歩に来るのを窓から見つけると、いつも夫を呼ぶんですよ。『またみんなで散歩してるわ』って」

「じゃあ、この次、私たちを見つけたら外へ出てきてくださいよ。一緒に散歩しましょう」

他愛ない会話だが、とってもうれしかった。知らない人とこんな風におしゃべりできたことが、心をほんわかとさせてくれた。バスに乗った私はまだしばらくにやにやしていた。これもモグリのおかげよ。私たちよりずっと交際範囲が広いんだから。そのお話もまたいずれ。

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