モグリとシュール

またまたモグリの話題で申し訳ないが、愛息子のことはいくらでも話したいのでご勘弁を。

彼には兄貴というか親父というか、そういう存在の猫がいる。隣の一家が飼っているシュールだ。シュールは私たちが引っ越してくる前からこのアパートに出入 りしていた。モグリを飼う前は、私たちもシュールをかわいがっていた―というと、いまはかわいがっていないように聞こえるが、事実、前よりはかわいさが 減っている。シュールはちょっと特別な猫で、のどやお腹をさすると怒って引っかく。だから、あんまり一緒に遊べない。それに、モグリ専用のドアからは シュールも勝手に出入りするので、モグリのえさもパクパクと食べられてしまう。だから、えさ目当てにやってくるときにはこっちもシュールを追い出してしま うのである。

というふうに、シュールと私たちは時々敵対しているのだか、シュールはモグリに対して「こいつは俺が守ってやらにゃ」という意識をもっているようである。 モグリはちょっと気が弱い。どちらかというと対立を避けるタイプ。どうやら両親からの遺伝らしい。7歳くらい年上でモグリの倍くらい大きいシュールは、人 間や犬に対しておどおどしているところがある反面、ほかの猫とは勇ましく戦う。うちも自分の縄張りだと思っているところがあるから、ほかの猫が様子を伺いに来ると、モグリではなくてシュールがやっつけにいく。モグリは隅っこで小さくなって「ありがと、ありがと」と眺めているだけだ。

一度、それでもモグリが誰かからケンカを売られて、腰の辺りに傷を負って帰ってきたことがある。化膿がひどくなったので、獣医さんのところへ連れて行って 手術をしてもらった。麻酔が切れたころに迎えに行ったが、まだフラフラしている。やたらと外へ出たがるので、これはおトイレかもと思い、夫の付き添いで出 て行った。フラフラしているから、用が済んだらすぐに戻ってこなきゃいけないんだけど、未練がましそうにしている。見かねた夫がモグリを抱き上げ、無理や り連れ戻そうとすると「フギャー、ンニャー」と悲鳴を上げて抵抗する。このとき、シュールがたまたまそばにいた。モグリの哀れな声を聞いたシュールは、なんと、ぴょ~んと高く跳ね上がって「ギャオー」と夫に飛びかかるではないか。「俺の弟分にいったいなにしやがるんだ!いやがってんじゃねーか」って感じ だ。私たちはびっくりするやら、うれしいやら。「そんなにまでモグリのことを愛してくれてありがとう」それからしばらくは、私たちもシュールにやさしかったなあ。

バルコニーの植え込みで仲良く日光浴。左がシュール

バルコニーの植え込みで仲良く日光浴。左がシュール

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