濃厚な2週間はもはや遠い過去

5月の姪の結婚式に続き、7月にはその兄の甥が挙式。今回は夫と二人で帰国し、史上最高の猛暑の中、本当にあっという間に10日間が過ぎていった。行きの名古屋空港着の飛行機からは、わざわざ左席を確保した甲斐あって、かなり遠くではあったけれど富士山が見えた。富士山、やっぱり見えると嬉しい。

テレビで見るとみんな団扇で扇いでいるのでもっと暑いかと思ったけれど、それほどでもなかった

エンターテイナーで知られる甥の披露宴は、さすがに今までに見たことのない余興が盛りだくさんで、4時間は瞬く間に過ぎ去った。

恒例の叔母たちとの食事会では、迎えに来てくれた叔母の車がパンクし、叔母はたまたまそこを通りかかったパトカーで最寄りのガレージまで連れて行ってもらい、初パトカー経験。夫の初体験は大相撲名古屋場所(私も)。終盤戦には満員御礼となり、欧米人の姿も多く見かけた。そしてなんと、この相撲観戦をアレンジしてくれた義兄・姉がテレビに映っている4人を発見。暗闇に浮かぶ亡霊のようではあったけれど、確かに私たちだった。

猛暑の東海地方をあとにして、次は4年ぶりの東北へ。今回は夫も初めて同行し、一ノ関で車を借りて、気仙沼、陸前高田、大船渡を、文字通り駆け足で周った。

これまでは自転車や徒歩で周ったので、時間は少なくとも、ある程度じっくりと見ることができたけれど、今回は車で大通りを走り抜けただけ。それでも、4年前の風景とはかなり違っていることが分かる。気仙沼には新しいマンションが立ち並ぶ一角があった。

陸前高田にはまだまだ土が運ばれている。嵩上げ作業は当分続くのだろうか。建物もまだ少ない。

大船渡の町はかなり新しい建物が増えている。商店街やホテルも完成しているけれど、人通りは少ない。今後はおそらく、日本各地の過疎地が面している問題がこれらの地域でもクローズアップされるのだろう。

大船渡に一泊し、翌朝は猊鼻渓の船下りでスタート。手漕ぎのボートに乗り、セミや鳥の鳴き声、魚に随伴してもらいながら、船頭さんの楽しい説明を聞く。

一ノ関に戻って一泊。大船渡の夜は過ごしやすかったけれど、内陸部の一ノ関はやはり暑い。この夜は酒蔵見学を予約。ほかの二人の女性と4人だけのミニツアーで、担当の方の熱心な説明を聞く。きき酒の仕方も習って、おいしいお酒を少し味わった後は、レストランで夕食。名

蔵元レストランせきのいち 一連の酒蔵を改造して素敵なレストランに

物の「はっと」を入れる鍋料理やお餅はとてもおいしかったけれど、何せあの猛暑。冷房はなく、扉を開け放してあるのは雰囲気はいいけれど、蚊や暑さと闘いながらの食事はちょっとキツかった。それだったら、いっそのこと、いい感じのテラスで食事した方がよかったかも。

一ノ関はこれまで新幹線の乗り換えをしただけで、駅前には何もないと思っていた。町は確かに小さいけれど、こんな素敵なレストランもある。そして、車があれば、ここから世界遺産の平泉もすぐ。

青いカエデが涼し気

ということで、翌日は平泉へ。ネットで得た間に合わせの知識しかなかったけれど、何も知らなくとも、この広大な中禅寺は気分も落ち着くこれまた素敵な場所だ。

 

平泉には田んぼアートもある。でも、標識は出ていないのか、見つけられず、見物人もいない。この辺りだと思われる橋の上を走りながら左側に広がる田んぼを眺めていて、ふと色の違う稲があったような気がした。田んぼの方に下りて車を停めてもらい、暑さに辟易している夫を残して橋の上に戻った。すると……、あったあった。

正面から見ないと、こういう絵にならない。橋を上っているときは、なんだか色の違う稲が細く見えるだけだったけれど、正面に立って見て「ほお~」と感心した。広々とした田んぼに立体的な絵が立っている。これはやっぱり写真より実物を見るべきだ。夫は「写真見せてくれればいい」って言っていたけれど。

このあとは東京で友人たちとの再会を祝い、一足先に新婚旅行に出た甥っ子夫婦を追ってスイスに帰国。いろいろとハプニングに見舞われた二人を無事チューリヒで迎え、15年前に甥・姪と一緒に行ったグラウビュンデン州の山村ソーリオへ。

標高1000メートル以上にある村なので、やっぱり猛暑が続くチューリヒよりは涼しいかと思いきや、ここも30度近い暑さ。汗をかきかき2時間ほど森の中をハイキングした。

夜のソーリオはやっぱり過ごしやすい

ホテルのチェックアウト時に「新しい家ができてますね」と言うと、10年くらいで人口が140人から89人に減少したとご主人が話し出した。うち40%が80歳以上だそうだ。日用品を買える店もない山の中の村には若い人はとどまらないのだろう。

こんな人里離れたところでは、さすがに日本人は見かけないと思いきや、ハイキング中にも一夫婦に出会ったし、このホテルにも日本から絵を描く人たちが毎年来ているという。すごく楽しい時間を過ごしたとご主人は顔をほころばせた。

でも、今年は近くの村ボンドで大きな土砂崩れがあり、それが世界中に報道されて、この辺り一帯が通行止めになっていると思われてしまったと悲しげな顔も見せる。

甥っ子夫婦が帰国してからまだ数日しかたっていないのに、日本滞在も甥っ子たちとの時間も、まるで遠い日のことのよう。また二人と一匹の静かな生活に戻り、ちょっと寂しいかな。

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