初めてのカリブ

また、真っ黒に日焼けしてしまった。でも、今回は私より黒い人が周りにたくさんいた。今回の休暇先はカリブ海だったのだ。これまで、私はアメリカを全然知らなかった。北も真ん中も南も。

黒人に囲まれるという状況もほぼ初めて。今回の休暇で、黒人に対して自分が先入観を持っていることをよく実感した。

大西洋側のビーチは波が荒い

バルバドスのゲストハウスには、ハンモックがいっぱい

サンゴの島バルバドスと火山の島セントルシアはそろそろ雨期に入るころで、ハイシーズンはもう終わっている。だから、ビーチもレストランもガラガラ。空には雲が何重にも重なり、時おりスコールがやってくる。でも、気温は30度近くあるし、太陽も時折顔を出す。いつもブリーズが吹いているので、かえって過ごしやすかった。

ラム酒の製造を見学できるバルバドスの聖ニコラス修道院

バルバドスは地元民と観光客が入り混じっている場所が多い気がするけれど、セントルシアはモロに観光の島という感じだ。ビーチはほとんどホテルの前にあり、誰でも入れるけれど、そんなところに地元民はまず来ない。デッキチェアの料金も、高級ホテル前のビーチでは一台50米ドルもする。公共ビーチだと10米ドル程度なのに。ビールの値段も場所によって大きく異なる。

いくつかの村をレンタカーで走り抜けた。車の中にいる私にじっと目を合わせる人が多く、おまけに何か叫んでいたりすると、そんな地元民のことについて、ついいろいろと考えてしまう。彼らは観光客が嫌いなのだろうか。それとも、好奇心なのだろうか。

セントルシアのCanariesという名の漁村。色とりどりの家がかわいい

彼らの祖先はその昔、アフリカから奴隷として連れてこられた。これらの島に住む白人の割合は数パーセント。でも、経済を牛耳っているのは、きっとこの少数派に違いない。私たちが泊まった宿もヨーロッパ人が経営していた。何世紀も前からラム酒を作っているところや、サトウキビ園を経営していたという施設を見学したけれど、以前500人もいたという「従業員」はおそらくすべて黒人だったはず。今、その施設で働く黒人はどんな気持ちなんだろう。お金を持った外国人観光客が自分たちの店を素通りし、観光客向けの場所にばかり足を向けるのを見ている彼らの胸の内は?

セントルシア南西にあるビーチ。少しだけサンゴもあり、シュノーケルを楽しめる

でも、私は彼らの中に入っていく勇気を持てなかった。小さいけれど、すごくイキイキした漁村で、写真を撮りたいと思いつつも、車から降りることはできなかった。セントルイスではどこの家にも電気は通じているけれど、水道がないという家はまだ多い。たらいで洗濯している女性の姿も何度か見かけた。下水はない。そんなところに住んでいる彼らが少し怖かった。自分とあまりにも境遇が違う人々が。

泳げる滝つぼへ行ってみたら、シブいおじさんの経営で、足の古い皮膚を食べてくれる魚もいたので挑戦。最初はものすごくくすぐったかったけれど、気持ちよかった~。足もつるつるに。また行きたい

 

 

セントルシアで人を雇って商売をしているヨーロッパ人は、「地元の人を雇うときにはものすごく用心しないと……」と言う。私の頭の中にも今だに「黒人=貧しい」という図式があり、彼らに対してはつい用心深くなる。でも、ビーチでデッキチェアや水上スキーを貸し出したり、アクセサリーなどを売り歩く地元の人々はものすごくフレンドリーだ。いきなり自己紹介から入って、私たちの名前や出身国を聞き、握手を求める。最初は一歩引いたけど、これがここのやり方。「要らない」と言えば、すぐ引っ込む。そして、別れ際には必ず「良い滞在を!」のことば。

毎日毎日、ビーチでごろごろしていただけだったけれど、スイスに来たときよりカルチャーショックは大きかった。そして、自分自身も少し知った。

もう少し長く滞在できたら、ひょっとしたらあの大好きな漁村で車を降り、「写真を撮ってもいいですか?」と聞いて、人々にカメラを向けることもできたかも。家の入口に立つ女性に、ベランダに座るおじいさんに、制服を着て元気に歩く子どもたちに、道路を横切るニワトリに……。いや、やっぱり難しいかな。

セントルシアのMarigot Bayに沈む夕陽

 

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