月: 2016年6月

スイスの閣僚は言葉の勉強にたいへん・・・だろうな

今、世界最長の鉄道トンネルの開通式典が行われている。全長57キロのなが~いトンネル、工事は1999年11月に始まり、試運転が開始されたのが2015年11月。計画が決まったときは、なんて気の長い話、完成はまだまだ先の話じゃんと思っていたけれど、数人の犠牲者を出してトンネルは本当に完成した。国を挙げての祝典には、隣国からメルケル首相、オランド大統領、レンツィ首相も駆けつけた。ヨーロッパの真ん中にあるスイスに新しく掘られたトンネルは、東に延びつつある欧州にとって以前より重要度が低くなったという声もあるけれど、各国のトップがわざわざ臨席するほどの重要性はまだ残しているようだ。

ところで、今年のスイス大統領はヨハン・シュナイダー=アマン経済相。各閣僚は1年間、輪番制で大統領役を務めるのだが、そのときは演説をする機会も増える。ぎこちなくカタまりながら長々ととりとめもなく続くシュナイダー=アマンさんの話し方はよくお笑いの種にされ、アメリカの番組にまで登場する始末。私は彼の政策はよく知らないが、目元に笑いをにじませながらインタビューに答える彼は嫌いではない。あんまり笑われ過ぎてかわいそうに思ってしまう。インタビュー恐怖症にならないといいけれど……なんて心配してしまう。今日も何度もインタビューを受け、演説をした。やっぱりちょっと詰まったりどもったりという場面があって、私はひそかに応援してしまうのだった(といっても、1人で式典を見ていたのだけれど)。

式典では、笑顔がかわいいドリス・ロイタルト運輸相も何度か演説を行った。シュナイダー・アマン大統領同様、ドイツ語・フランス語・イタリア語の3つの国語を取り交ぜながら。これはスイスならではのことだろう。フランス語圏出身の閣僚で、就任当時ポツポツともどかしそうにドイツ語を話していた人も、1年くらい経つとすごくうまくなっている。きっと、忙しい任務の合間を縫って勉強にいそしんでいるのだろう。それに毎日毎日ドイツ語に接しているから上達も早いに違いない。うらやましい気持ちもなくはない。