ハイキング休暇

休暇といえば海へ行くのが我が家の定番。でも、今年の秋は - 夏に続き念願かなって ― スイス南東部の山岳地方エンガディンでハイキング。秋のエンガディンは黄金に輝くカラマツが有名で、ぜひ一度その風景を見たいと思っていた。夫も案外すんなりと賛成してくれたので、5日間、標高1200メートルのシュクオールに滞在しながら、エンガディンを周った。 SONY DSC

家を出発した日の平地は雨模様。途中2300メートルくらいのフリュエラ峠を越える。ここは雪。私たちにとっての初雪だ。SONY DSC

午後、ホテルに着いて村を一回り。エンガディンの伝統的な建物にはスグラフィットという装飾が施されている。外壁に何層かに塗った漆喰を削って、下にある別の色を出しながら模様を作っていく。その色合いも、模様も、そしてまっすぐではない壁も、素朴で優しい。建物がどかんと大きいのもいい。路地はこれまたきれいな石畳で、マンホールのふたにまで石が詰められている。この地方に住む村人のセンスに、私は初めてこの地方を訪れたときに一目ぼれした。

夏に行ったサントリーニでも、白壁の建物やかわいらしい路地に目を奪われて、散策していてもなかなか前に進めず、何度も夫のブーイングを受けたが、ここでもまたその繰り返し。

夫が予約したホテルは伝統的な建物が並ぶ地区にあって情緒たっぷり。何度通ってもシャッターを押したくなる。実際に、撮った写真を見てみると、まったく

同じ構図の写真、よく似た写真が何枚か出てきた。SONY DSC

路地だけではなく、カラマツも、まだ期待したほど黄金色には染まっていなかったけれど、それもまたそれなりに美しく、ハイキング中も何度も足が止まり、夫が前から叫ぶ声をよそにカメラを取り出してはしまい、取り出してはまたケースに入れ……。

シュクオールの上方2000メートル前後を歩く

シュクオールの上方2000メートル前後を歩く

シュクオールの教会近くの広場。石畳の広場を持つ村は多いよう

シュクオールの教会近くの広場。石畳の広場を持つ村は多いよう

ハイキング道は、カラマツ林の中の柔らかな苔むした道やら、傾斜が60度くらいありそうな険しい岩道やら、広々とした草原やら、動物のフンだらけの道やら、泥だらけの道やら、実に変化に富む。空気は薄く、はあはあと息を乱し、自分の心臓がバクバクと鳴る音を大きく耳に響かせ、写真を撮らずとも何度も休憩を挟む。この5日間で、心臓も足腰もずいぶん鍛えられただろうなぁ。これからまた机に向かう生活で、しなびていくと思うとしごくザンネン。

丸いドアとそれに続く石の階段、脇にはベンチ。窓は深く、ゲラニウムがアクセントを添える。典型的な建物

丸いドアとそれに続く石の階段、脇にはベンチ。窓は深く、ゲラニウムがアクセントを添える。典型的な建物

グアルダの村。新しく映画化された「ウルスリのすず」が撮影された

グアルダの村。新しく映画化された「ウルスリのすず」が撮影された

朝はよく霧が出ていた。2000メートルくらいまで登ると、フィンランドで見たような景色に出会う

朝はよく霧が出ていた。2000メートルくらいまで登ると、フィンランドで見たような景色に出会う

シュクオールからスイス唯一の国立公園を抜け、ミュスタイアの谷へ。この辺りのカラマツはきれいに色づいていた

シュクオールからスイス唯一の国立公園を抜け、ミュスタイアの谷へ。この辺りのカラマツはきれいに色づいていた

ミュスタイアから家へ戻る途中、峠を越えたところで最後のハイキング

ミュスタイアから家へ戻る途中、峠を越えたところで最後のハイキング

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