頭上を越えていく

スマホを持って出なかったことを後悔した。ちょっとした買い物中に電話がかかってくることはほとんどないが、行き帰りに思わぬ被写体に遭遇することがある。でも今日は空も曇っているし、まず写真を撮ることはないだろうと、スマホを置いてうちを出た。そうして何度も後悔したことがあるのに・・・・・・。

買い物を終えて家の近所まで帰ってきたとき、どこかの家の裏から鳥の鳴き声らしきものが聞こえてきた。首を伸ばしてなんだろうと見てみたけれど、わからな い。何匹かいるような感じだ。ときどき家の窓から、遠くの野原にカモメらしき白い鳥がどっさり羽ばたくのが見えることがある。そんな鳥かな。

そのまま砂利道を歩いていると、今度は同じようなクヮクヮ、ピョロピョロという鳴き声が空から降ってきた。はっと上を見上げると、なんと、真上をサギだか コウノトリだかの群れが緩やかなV字を作って西の方へ飛んでいくところだった。どのくらいか見当がつかないが、それなりに高 い。でも、ほんとに私の真上を、長い首を伸ばし、仲間同士で何やら話し合いながら飛んでいったのだ。はじめて見た光景。初めて聞いた会話。

灰色の空に浮かぶ黒く細い線が連なって私の頭上を越えていくのを見上げていると、オーストラリアのビーチで正面から私に向かって飛んできて、そのまま頭の 上を勢いよく飛び越えていった1匹のトビウオを思い出した。それから、初春の暖かい日に上から落ちてくる松ぼっくりが開く音も。

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