アジサイ・デモ

昨日、人生で初めての経験をした。デモに参加したのだ。目的は日本の原発再稼動を阻止すること。日本の「アジサイ革命」に連動して、スイスでも有志が立ち 上がり、デモを計画した。2週間かかるデモの開催許可が間に合わなかったほど短期で企画実行された「デモ」だった。そう、スイスの首都ベルン市の許可を得 るに間に合わなかったため、最終的には「デモ」ではなく「ウォーキング」になった。

Ajisai-Demo IV Ajisai-Demo VIIIアジサイの花を片手に、日本人とスイス人がだいたい半数ずつ60 人ほど集まった。と言っても、アジサイの開花が今年は遅いらしく、また花屋さんにも切り花としてはあまり売っていないので、手に入れられなかった人も多 かったと思う。それを見越した中央スイスに住むある日本人女性が、遠路をものともせず、自宅の庭で切り取った20本あまりのアジサイをバケツともどもみん なのために持って来てくれた。

Ajisai-Demo II中央スイスといえばスイス発祥の地として知られているが、実はこの「ウォーキング」を思いついた有志もこの界隈に住む人たちだ。あの辺りには、何かそういうパワーがあるのだろうか……。

集合場所のベルン駅から日本大使館まで、みんなでぞろぞろ歩道を 歩く。「デモ」ではないので、車道を歩いたり、プラカードを掲げたり、シュプレヒコールを叫んだりすることはできない。でも、その前にベルン市内のある広 場でスイスの原発の廃炉を求める集会があり、そこに集まった人たち(おそらくほとんどがスイス人)もそのままこちらに流れてきたようで、脱原発を訴える旗 などを持って一緒に歩いていた。

道のりは1時間弱。子ども連れ、上品な老夫婦、中年の男性女性などが入り混じって、おしゃべりしながらまるで散歩でもしているかのように大使館までゆっく りと歩く。ふと気がつくと、坂道の上でみんな歩を止め、何かを待っているよう。どうしたのかなと思ったら、そこがもう日本大使館だった。もう何年も足を運 んでいないので、どんな建物だったのか全然覚えていない。

Ajisai-Demo V予め、警官がいると聞いていた。数人が私たちを大使館と道を挟んで向かい側にある駐車場へと誘導し、「この道路には出ないように」と注意する。警官の姿に、これまでののんびりしたムードもさすがに一変し、緊張感が漂った。

Ajisai-Demo VI大使館の門は閉ざされたままで、向こう側に男性が2人立っている。ここではプラカードを出してもよいことになっていたが、結局、私たちは駐車場にとどまる しかなく、「デモ」企画の中心になっていた男性が1人で門へ向かい、野田首相への抗議文と署名を手渡した。彼がこちらに帰ってきたときに、数回「再稼動反 対」とみんなで叫ぶ。自分できれいなプラカードを作ってきていた人もいたが、「デモ」らしさはそのくらいにとどまっていた。本当に平和な抗議だった。

 Ajisai-Demo VII私は警官と企画側の話し合いを聞いていなかったので、どんな風にやり取りされていたのかはわからないが、警官も誰も怖い顔つきはしていなかったように思う。中にはきっと原発反対の人もいただろう。

アジサイの花も大使館に手渡す意向だったが拒否されたため、一ヶ所に集めて写真を撮り、またそれぞれ持ち帰った。

あの「静かな」日本で、あれだけ大勢の人が脱原発・再稼動反対を目指して集まった。私たちもじっとしている場合ではない。あの場所に集まった日本人は、きっと誰もがそう思っていたに違いない。中には片道3時間かけてやってきた日本女性もいた。

そうそう、署名の方も、たった数日間で思いもよらず1000人分以上が集まった。そのほとんどがスイス人だったという。ここにも一般市民の意識の高さが表れているようだ。

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