月: 2012年7月

Katie Melua

チューリヒ市内の高台にある屋外アイススケート場で、毎夏、野外コンサートが開かれる。Live at Sunsetという名の通り、夕暮れに始まるなかなか情緒ある催し物だ。収容人数およそ2500人と小規模なところもいい。私たちは毎年このオープンエア に出かけている。たまたま好きなアーチストが来ることもあって。で、今年はケイティ・メルーアのコンサートに行ってきた。

でも、ファンなのは私だけで、夫はほかに行きたいコンサートがなかったから仕方なくついて来たという感じ。グルジア生まれ、アイルランド育ちの小柄な黒髪 レディの歌声は、思っていたより力強かった。私が好きなのはバラード。ブルースやカントリーっぽい曲もあるけれど、そういうのはあんまり好きじゃない。ほ かの人はみんなノッていたけれど。

で、夫は隣であくびの連続。わざとらしい。夫の隣に座っていた女性は、最初、そんな夫に顔を向けて苦笑いしていたけれど、もう何回も続くので無視。私も無視。彼とはもう金輪際、ケイティ・メルーアのコンサートには行くまい。彼もきっとそう思っているだろう。

実は、前にも一度ケイティ・メルーアのコンサートチケットを買ったことがある。でも、行きそびれた。確か秋に予定されていたコンサートが、彼女の体調が崩 れたので半年くらい先に延びた。私はちゃんと延期になったあとの日にちを確認して、カレンダーに書き込んでいたのだが、その日になっていざコンサート会場 に行ってみると、なんだか雰囲気が違う……。カウボーイハットをかぶったりした年配の男女ばかりなのだ。彼らがケイティ・メルーアのファン??? 夫も 「これ、絶対おかしいよ」と言い、こっそりとみんなが手にしているチケットを見てみると、やっぱり違う名前が書いてある。そんな~~~。どうし てぇ~~~。ちゃんと確かめたのに。夫に馬鹿にされながら家に帰って調べてみると、彼女のコンサートは前日に終わっていた。あ~あ。というわけで、今回は その穴埋めだったのだ。満足、満足。秋にはSealのコンサートに行く予定。夫にはそのときまたノッてもらいましょう。

そうそう、ケイティ・メルーアのコンサートでは、バイオリニストとしてKotono Satoという日本人女性も舞台に立っていた。アジア人だなとは思っていたけれど、日本人だったとは。Simply Redの舞台にも日本人ギタリストがいた。イギリスでは、日本人のアーチストが大活躍だ。

アジサイ・デモ

昨日、人生で初めての経験をした。デモに参加したのだ。目的は日本の原発再稼動を阻止すること。日本の「アジサイ革命」に連動して、スイスでも有志が立ち 上がり、デモを計画した。2週間かかるデモの開催許可が間に合わなかったほど短期で企画実行された「デモ」だった。そう、スイスの首都ベルン市の許可を得 るに間に合わなかったため、最終的には「デモ」ではなく「ウォーキング」になった。

Ajisai-Demo IV Ajisai-Demo VIIIアジサイの花を片手に、日本人とスイス人がだいたい半数ずつ60 人ほど集まった。と言っても、アジサイの開花が今年は遅いらしく、また花屋さんにも切り花としてはあまり売っていないので、手に入れられなかった人も多 かったと思う。それを見越した中央スイスに住むある日本人女性が、遠路をものともせず、自宅の庭で切り取った20本あまりのアジサイをバケツともどもみん なのために持って来てくれた。

Ajisai-Demo II中央スイスといえばスイス発祥の地として知られているが、実はこの「ウォーキング」を思いついた有志もこの界隈に住む人たちだ。あの辺りには、何かそういうパワーがあるのだろうか……。

集合場所のベルン駅から日本大使館まで、みんなでぞろぞろ歩道を 歩く。「デモ」ではないので、車道を歩いたり、プラカードを掲げたり、シュプレヒコールを叫んだりすることはできない。でも、その前にベルン市内のある広 場でスイスの原発の廃炉を求める集会があり、そこに集まった人たち(おそらくほとんどがスイス人)もそのままこちらに流れてきたようで、脱原発を訴える旗 などを持って一緒に歩いていた。

道のりは1時間弱。子ども連れ、上品な老夫婦、中年の男性女性などが入り混じって、おしゃべりしながらまるで散歩でもしているかのように大使館までゆっく りと歩く。ふと気がつくと、坂道の上でみんな歩を止め、何かを待っているよう。どうしたのかなと思ったら、そこがもう日本大使館だった。もう何年も足を運 んでいないので、どんな建物だったのか全然覚えていない。

Ajisai-Demo V予め、警官がいると聞いていた。数人が私たちを大使館と道を挟んで向かい側にある駐車場へと誘導し、「この道路には出ないように」と注意する。警官の姿に、これまでののんびりしたムードもさすがに一変し、緊張感が漂った。

Ajisai-Demo VI大使館の門は閉ざされたままで、向こう側に男性が2人立っている。ここではプラカードを出してもよいことになっていたが、結局、私たちは駐車場にとどまる しかなく、「デモ」企画の中心になっていた男性が1人で門へ向かい、野田首相への抗議文と署名を手渡した。彼がこちらに帰ってきたときに、数回「再稼動反 対」とみんなで叫ぶ。自分できれいなプラカードを作ってきていた人もいたが、「デモ」らしさはそのくらいにとどまっていた。本当に平和な抗議だった。

 Ajisai-Demo VII私は警官と企画側の話し合いを聞いていなかったので、どんな風にやり取りされていたのかはわからないが、警官も誰も怖い顔つきはしていなかったように思う。中にはきっと原発反対の人もいただろう。

アジサイの花も大使館に手渡す意向だったが拒否されたため、一ヶ所に集めて写真を撮り、またそれぞれ持ち帰った。

あの「静かな」日本で、あれだけ大勢の人が脱原発・再稼動反対を目指して集まった。私たちもじっとしている場合ではない。あの場所に集まった日本人は、きっと誰もがそう思っていたに違いない。中には片道3時間かけてやってきた日本女性もいた。

そうそう、署名の方も、たった数日間で思いもよらず1000人分以上が集まった。そのほとんどがスイス人だったという。ここにも一般市民の意識の高さが表れているようだ。

目覚ましあられ

週末はいつも朝寝坊する。今日もごろごろと、さほど眠くもないのにベッドに転んだまま夢うつつでいると、突然ばらばらっと大きな音がし出した。雨にしては音が大きすぎる。雹だ!時計を見ると8時。ばっと起きた。ベランダの花がぼろぼろになってしまうかも!

HagelI 例のごとく名前を忘れてしまったが、数週間前に買って植えて、一度花が全部咲き終わって、「あれ、もう終わっちゃったのかな」と思いきや、またたくさんつ ぼみがついて今全開になっている花。少しでも守るために日よけを下ろそうとバルコニーのドアを開けたはいいけれど、ビー玉くらいの大きさの雹がカンカンと 手すりや床に音を立てて落ちている。頭に当たったら痛そう。打ち所が悪かったらひどい目にあうかも……などと考えて、なかなか外に出られない。やっと少し 収まったところで日よけを下ろし、花の様子を見てみると、たいした被害はない。よかった。

HagelII外の駐車場には車が3台停まっている。大丈夫かなぁ。屋根がボコボコになっているんじゃないだろうか。

スイスでは雹やあられはそれほど珍しくない。今の時期に降って、農作物に大きな被害が出るという話もよく聞く。イチゴやサクランボがまたやられたんじゃないのかな。

昨日一昨日と30度を越す真夏日だったけれど、昨日の夜から雨が降り出し、気温はぐっと下がった。過ごしやすいというか、寒いというか……。すごくスイス的。