ハプニングと笑いの訪問

先週の水曜日、半年前くらいに引っ越してきたお隣さん夫婦が夕食に招待してくれた。 その前に我が家で、一人暮らしのドイツ人男性とお隣の奥さんだけを招いてBBQをしたことがあり、「次はうちでニカラグア料理をごちそうするわ」というこ とになっていたのだ。彼女はニカラグアの出身でスイスではイタリア語圏のティチーノやフランス語圏のジュネーブに数年間住んでいたけれど、ドイツ語圏は初 めて。まだドイツ語と奮闘中だ(私も人のことは言えないが)。ティチーノ出身のご主人はルアンダの開発援助の仕事に携わっていて、帰省は3ヶ月ごとに数週 間。今は帰ってきているので、今度はご主人を交えた同じメンバーでまた夕食をすることになった。

…と私は思っていたのだけど、実は…。

とりあえずこの5人が集まったアペロではご主人が限定販売のシャルドネーを出してくれたが、これが本当においしかった。彼は世界のいろいろな場所へ行って いるので、珍しいものをたくさん知っているよう。私はこのチャンスを逃さんとばかりにルアンダについていろいろと質問を連発。ルアンダなんてテレビで見る 戦争や難民の映像しか知らないもの。奥さんも彼の滞在先に一度行ったことがあり、二人してすごく美しい場所だと口を揃える。ふ~ん、そうなのか。アフリカ はケニアしか知らない、それもホテル周辺しか知らない私には、あまりよく想像することができない。

と、みんなでワイワイやっていたら(ドイツ人男性もティチーノ男性も結構よくしゃべる)、ピンポ~ンとベルが鳴る。よく見たら、ワイングラスも6人分用意 されているじゃありませんか。誰が来るんだろう。上階のあまり仲の良くない女性だったらどうしよう…。あ、男性だ。ほっ。

とするのも束の間、それはドイツ人男性の下にやはり一人で住んでいる比較的若い男性だった。彼は朝早く出かけて行くのだけど、そのあとの通路にはタバコ、 時には大麻の匂いがプ~ン。それに彼は一度、このドイツ人男性に向かって「このホモ野郎!」と怒鳴ったことがあるのだ。ああ、彼も静かになっちゃった。ど うしよう。空気が変わっていく…。引っ越してきたばかりの彼らはそんなこととはつゆ知らず、顔見知りになったみんなを招待してくれたんだ。

つかみ合いのけんかになりませんように…と祈る私の気持ちが通じたのか(そんなことはないと思うけど)、二人は隣同士に座りながら、また食事のテーブルでも向かい合わせに座りながら、結構仲良くやっている。大麻男性はオープンで、2週間前に彼女と別れてしまったことや飲酒運転で捕まったことなどを話す。 「今も本当は飲んじゃいけないんだ」といいつつ、おいしい赤ワインやグラッパにどんどん手が出る。3ヶ月に一度アルコールの検査に行かなければならないら しく、そうすると髪の毛を取られて、それでなんと6ヶ月前の飲酒状況までさかのぼって調べられてしまうのだそうだ。ドイツ人男性はそれにかなり驚いたらし く、そのあとはもう何かというと「髪の毛、髪の毛」と騒ぐ。それを見て私たちは大笑い。ワインのボトルが次々に開けられる中、「明日も早いから」と10時 ごろに大麻男性が帰った。その後ドイツ人男性は、「あいつはかわいそうなヤツだ。助けてやらなきゃいかんかも」と言い出す。あれ~、前はあんなに文句ばっ かり言ってたのに、やっぱり会って話すことの威力ってすごいなあ、と私は感心。

みんな適度に酔った頭で、その後もまだワハハと騒いでいたら、またピンポ~ンとベルが鳴った。今ごろまた来客?でも二人とも心当たりがないようなので、私たちも誰だ誰だとぞろぞろ建物の表玄関まで出て行った(地階なので玄関はすぐそこ)。するとそこに立っていたのはモグリファンだった向かいの建物に住む青年ではないか。どうしたの?と聞くと「…あんまりうるさいから、それを伝えに来た」と言う。でも、そこにまさか私たちもいるなんて思ってもいなかったよう で、モグリ青年はちょっと戸惑い気味。夫は「そんなはずないよ~。家の中にいるのに」。でもドイツ人男性が「いや、そうなんだよ。この建物の音って向こう にすごく響くんだよ」と援護。確かにベランダへの扉を開けていたので、そこから私たちの笑い声が響き渡っていたのだろう。主人でもないくせに、夫が 「ちょっと入って見てみろって」と青年を隣人宅へ引っ張り込む。

私たち以外に彼を知っている人はいなく、互いに紹介し合って、「まあまあ、座れよ」と今まで大麻男性が座っていた席にモグリ青年を座らせ、ルアンダのバナ ナ酒やら何やらを勧める。ドイツ人男性はモグリ青年に向かって「お前は勇気があるヤツだ!」と賞賛の言葉を浴びせかけ、彼は彼で「逆ギレしないで普通に対 応してもらえばそれでいいんだ」とお酒をグビグビ。そして、私たちはまた騒がしく笑い続けた。あ~あ、ミイラ取りがミイラになってら。

結局、「じゃあ、そろそろ」ということになったのは零時前。なんだか、ソープを見ているような夜だった。あんなに面白い夜になるとは考えてもいなかった。 夫はベッドに入ってからも、まだしばらく思い出し笑いをしていたし。あとから、「上階の女性が来ていたら、彼女とも仲良くなれたかもしれない」と少し残念 な気がした。

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