翻訳の効能

忙殺の日々が過ぎてもう1ヵ月近くが経つ。気抜け状態の中で、それでも2冊の翻訳書のPRを始めたり残りの仕事を片付けたりしているうちにもう夏時間になってしまった。去年の秋に始めた日本の古典文学の勉強も中断したまま。4月になったら再開するつもりなんだけど…。

日本人の知り合いが増えたせいか、本のジャンルのせいか、今度の2冊はこれまでよりも売れ行きがよい(あくまでも私の周辺の話)。うれしいな~。いつも1人でも多くの人に読んでもらいたいと思いながら訳しているから、こういう現象には励まされる。

出版翻訳はほとんど趣味みたいなものだけれど、個人のクライアントからいただく仕事にはさまざまなものがあって、これはこれでヒジョーに興味深い。他人の 人生を垣間見ることも珍しくない。会社ではなく個人の場合、金銭的な余裕があまりない人も多い。そんな中で、決して安くはない翻訳料金を支払ってでも翻訳 してもらおうと思う人々の背景を考えると、とてもじゃないがいい加減な翻訳はできない。たとえそれが割に合わないものであっても。

最近はよくスイスインフォさんのお世話になっており、スイスに関する記事などを訳すことが多いので、だんだんスイス通になってきた。先日も太極拳の先生 (スイス人)とベルンのパウル・クレー・センターの話になり、「あのレンゾ・ピアノの建物もいいよね~」と私が言うと、先生は「物知りね~」と感嘆。私がそんなことを知っているなんて思いもよらなかったに違いない。ふふふ。私はあわてて「最近、スイスインフォから仕事をもらっていて、その内容はほとんど忘 れちゃうけど覚えていることもあるのよ~」となぜか言い訳をしてしまった。

そういえば、この忙殺の日々の間に1つちょっと悲しい出来事があった。もう9割がたは大丈夫だと思っていた漫画『わが指のオーケストラ』の独訳出版が振り 出しに戻ってしまったのだ。あ~あ。忙しかったので、このことについてはほとんど考える暇がなかったけれど、これからまた新たに出版社探しを始めなくっ ちゃ。フランス語には訳されたから望みはあり!

来週は久しぶりに翻訳ワークショップがある。まだ準備は終わっていない。急がなくちゃ。でも、明日から。

先週は雪が降りっぱなし。初春になってやっと冬の到来?

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