お祝いが水の泡

仕事仲間兼友人のH美さんが二人目のお嬢さんを出産した。メールで連絡をもらい、昨日の金曜日、仕事も一段落ついたし、彼女にももうずいぶん長い間会って いないし、この機会を逃したらこの先いつ会えるかわかったものではないので、ぐずついた天気の中、久しぶりに私用でうちを出発。

おっとその前に、彼女がまだ入院しているか確認をしておかなくちゃ。そろそろ退院の頃だもんね。でも、大丈夫。病院に電話をしたところ、彼女はまだいると いう。部屋の電話番号も教えてくれたので、ちょっと電話してみようかな。都合が悪いといけないし、花束よりもほかに何か欲しいものがあるかもしれないもの ね。

誰かとカフェにでも出かけているのかなあ。何度かけても出ないぞ。

街に着いたとたん、大粒の雨が降り出した。折りたたみの傘を持ってきて良かった。でも、服装の選択を誤った。薄手の緑色のパンツなので、雨が当たるとすぐ に変色してしまう。みっともないなあ。さっさと歩いて大学病院へ。受付で病室の番号を聞いてから彼女の部屋のドアをノック。3人部屋らしいけど、一人しかいない。でもその彼女はH美さんじゃない。「あの~、XXさんは?」と聞くと「こっちの彼女?それともこっち?日本人の彼女なら、今朝退院したわよ」

「え~っ!!」そ、そんなバカな・・・。ちゃんと電話で確認して、下の受付でも部屋番号を教えてくれたのに。これじゃあ、いくら部屋に電話しても出ないはずよね・・・。

怒りながらナースセンターへ行き、「こうこうこうで、こうなんだけどっ!」と抗議した。優しそうな看護婦さんは「ごめんなさいねえ。たぶん、あなたが電話 したとき、ちょうどXXさんが部屋を出る頃だったのかもね。下の受付までその連絡が行くのに時間がかかるのよ・・・。悪いけど、お見舞いなら彼女のお宅ま で行ってもらえないかしら」

何ですってぇ~!あなたにそんなことを言われる筋合いはない!行きたいのはやまやまだけど、退院したその日に行けるぅ?私だって仕事の合間を見て出かけてきたのに。チューリヒまでバスで15分のところに住んでいるからいいものの、これが電車で3時間も4時間もかかるところに住んでいる人だったら、どうするの?それでも「ごめんなさいねえ」の一言で済んじゃうの?

かといって、もうどうすることもできないので、花束を持ったままおとなしくエレベータに乗る。受付で電話の応対をしていたお兄ちゃんにも「彼女、もう家に 帰ったって!」と言い残して出口へ。哀しい。せっかく彼女に似合いそうな花を買ったのになあ。憤懣やるかたなく、というわけでもないけれど、外に出てから H美さんの自宅に電話をした。彼女も驚いていたが、入院中はほかにもいろいろとあったよう。これから来る?と聞いてくれたけど、やっぱり辞退した。花を渡せないのが残念だけど、この数週間、私もちょっと仕事をがんばったので、これは自分へのご褒美にしよう。こんな立派な花じゃないけど、いつか切花を買いた いなと思っていたのよね、実は。H美さん、ごめん。

H美さんの手に届かなかったバラたち

H美さんの手に届かなかったバラたち

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