月: 2004年11月

本当のことは言わない

11月18日、夫の妹が男の子を産んだ。初めての出産である。翌日、病院にお見舞いに行ったときに、「予定日よりだいぶん早かったね。12月の初めだったよね、確か」と聞くと、そばにいた彼女の夫と顔を見合わせて苦笑したあと、「実はね―」。

出産間際になると ― とくに初産の場合 ― 、「まだかまだか」という問い合わせが激しくてやりきれないという話を聞いたので、周りにはわざと本当の予定日より遅めの日にちを知らせたのだと言う。それを聞いたとき、身内の私たちにまで本当のことを言ってくれないなんて、なんて水臭いんだろうと思った。正直、ちょっとがっかりした。でも、どこで話が漏れるかわからないから、やっぱり徹底しておくに越したことはないのだろう。

それにしても、出産が予定日より大幅に遅れているのならともかく、本人も初産を控えて緊張しているところにみんながみんな、電話をして尋ねるなんて―。ちょっとビックリ。

この話を聞いて、早速日本人の友人に聞いてみた。やっぱりみんな、本人から連絡がくるまで待つという。私がいままでそうしていたように。

昨日は娘が2人いる隣の女性に会ったので、彼女にもどれどれと聞いてみた。彼女いわく、「予定日を遅めに知らせる人は多いらしいよ」でも、彼女はそれをしなかった。そしたら案の定、一人目の出産の前は電話攻めでまいったそうだ。

ふーん、スイスってそうなんだ。15年目にして知った新たな事実。

モグリはしゃべる

またまたモグリ編。

モグリは外から帰ってくるとよく「ただいまぁ」と言う(いま、そう言いながら帰ってきたところ)。もちろん、私たちの耳には「ミャウ」としか聞こえない。 でもモグリは、どうやら出かけるときや帰ってきたときに声をかける合う私たちを見習っているよう。モグリにもちゃんといつも声をかける。だからモグリは、出かける前にも「ちょっと散歩してくるね」と言い残していくことがある。

一人で外に出るようになってまだ間もないころ、モグリはよく「ミャウミャウ」を連発させながら帰ってきた。きっと、外であった出来事を私たちに報告していたんだと思う。だから私は、「うんうん、それで?」なんて聞いていた。でも、最近はたいてい「ただいま」だけだ。もうたいていのことには驚かなくなったら しい。

モグリは座ったままの抱っこはあまり好きではないが、寝ているときには何をやってもほとんど許してくれる。それで昨日の夕方、ふざけてモグリのしっぽを噛 んだ。そしたら、夜中、寝ているときに足を噛まれた(か、爪をちょっと出してガバッとしがみついたのかもしれない)。仕返しされたのかな。

私はモグリのことを息子だとか何とか言っているけれど、モグリに服を着せたり、モグリをペット用美容院に連れて行ったりなんてことはしない。モグリは立派な猫だ。人間の習慣を押しつけたくない。外で木登りをし、ネズミや鳥を捕らえ、自分の体は自分で舐めて清潔に保つ(濡れて帰ってきたときには、タオルで拭 いてあげるけれど)。これが私たちのモグリ。

ぶどうの葉っぱの間から…。2歳くらい

ぶどうの葉っぱの間から…。2歳くらい

親子で散歩

今日は久しぶりに家族3人(正しくは2人と1匹)で散歩に出かけた。

長男モグリ(オスネコ)のスケジュール(彼は好きなときに好きなだけ出歩ける。夜遊び大好き)と私たちが家にいる時間がなかなか合わなかったため、もう2、3ヶ月もご無沙汰していたのである。

私たちが外出準備に取り掛かると、モグリは寝ていてもサッと起き出してドアの前で待ち構えている。「違うのよ、これから買い物に行くの。散歩じゃないんだ から」と言っても、外に出るとうれしそうに、でもちょっと半信半疑でしっぽをブルンブルンと振りながらついてくる。そして、私たちが車の方に行くのを見る と、がっかりしてその場にしゃがみ込んでしまう。車を通り過ぎると、あるいは車の前で違う方向に進むと、「あっ、これは散歩だ!ひゃっほぉ~い」と喜び勇 んで駆け出す。かわいい奴です。

そう、今日は久しぶりに近くの森へ散歩に行ったのである。犬を連れている人に会いませんように…。いつも心配しながらも、これまでは何ごともなく過ぎた。今日は、犬を連れている人には会わなかったが、これまで経験したことのない飼い犬の吼え声に驚かされた。それも2匹。犬は道路へは出てこなかったが、モグリは遊歩道を外れて一目散に森の中へ。結局、迂回をしてそのままアパートの裏手の、いつも行く芝生の広場や誰も使わない(と思う)子どもの遊び場でしばしモグリと遊んでから帰宅。北風も強かったので、30分の散歩で終わってしまった。でも、やっと義務を果たしたって感じかな。モグリはいま、幸せそうに私の机の下で眠っている。

まだ外に出られなかったころのモグリ(ベランダの隙間から外を覗く)